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June 29, 2005

女体道場「オタンジョウ日警報」

 女体道場第7回公演「オタンジョウ日警報」が高円寺・明石スタジオで開かれました(6月16日-19日)。シリアスなテーマを意外な角度で切り取ってみせる劇団が今回選んだのは「学習障害」でした。

 「休むに似たり。」サイトのはわひらさんは「小さい頃に学習障害と言われた男。成長してもあまり仕事も長続きせず、変態向けグッズショップでバイトの日々。そこに集う人々の姿。一方かつて彼を学習障害と判断した教師は痴漢の疑いで取り調べられて…」とあらすじをまとめています。その上で「この手の話題を取り上げようという勇気と、芝居を観ている最中に、あたしの気持ちの中に起こるさざめきと、重くも、しかし絶望的ではない結末、すっと肩透かしするかのように流す力量、たいしたものだと思う」と評価していました。

 「女子大生カンゲキノススメ」サイトは次のように述べて、舞台のケルンを評価します。

痴漢とか、変態とか、学習障害とか、色々な事柄を扱っているけれど
私がこの芝居から見たのは
「自分の弱さを何かのせいにしないといられない」
そんな何よりも人間らしい人間の姿と
「万人に受け入れて貰える事実には限りがあるという真実」
だった。
それらを見事に描き出している作品であると思う。

 さらに「役者の過剰な演技は気になったものの、そんなものを吹き飛ばしてしまうくらい脚本がよく出来ていた。女体道場という劇団名から観劇を敬遠している人が多いようだが勿体ないと思う。スタンダードな芝居作り、してる」と書き留めています。

 「観劇?飲んだくれ?日記」のnewroadさんは公演を2度みているようです。「人の心のどうしようもない部分をエンターテイメント化して描くのが持ち味」と特長を述べた後「しかし人の心をよくわかってるなあ」と舌を巻いていました。

 【参考】
 中野真希、桶川雅代さん(女体道場)「さわやかに、テンポよい悲劇を 見終わったときが始まり」(2004年8月8日)

[上演記録]記録
女体道場第7回公演「オタンジョウ日警報」
高円寺・明石スタジオ(6月16日-19日)

作・演出: 女体道場

◆役者◆
相沢樽介、がまこ、コシヒカリ、嶋田幸子、めすぶた、内山清人(project サマカトポロジー)浦壁昭一、大門郁子、田中誠、野村直生、服部紘平、パラディ

Posted by KITAJIMA takashi : 09:25 PM | Comments (0) | Trackback

June 24, 2005

机上風景「複雑な愛の記録」

 机上風景第11回公演「複雑な愛の記録」が新宿タイニイアリスで開かれました(6月14日-19日)。「リアルな演技、シリアスなエンタテインメント」を標榜している劇団の特質がよく現れた舞台だったようです。

 「休むに似たり。」のかわひらさんは「手紙をただひたすら、電話に向かって読み上げる女、そうなるに至った理由は彼女の自由を奪うが、ふと目にした光景は彼女をとりこに」と舞台の設定を凝縮して表現、「会えない男女の、少し込み入った話は見応えがあります」と感想を書き留めています。
 「デジログからあなろぐ」サイトの吉俊さんも「主人公の女性を取り巻く物語というか、設定というか・・・に大変引き込まれまして、演じられていたおもちゃさんの雰囲気の良さも相俟って大変お気に入りでした」と褒めていました。その上で劇団の特質を「机上風景の舞台は、リアルを装い、シリアスを道具して、それこそを娯楽として提供するものでありました。リアルとは書いてあるけれども、現実をリアルに描き出していくという訳ではなくて、どちらかというと虚構であり作られた世界をリアルな言語で語っていくという舞台」と要約していました。

 机上風景のWebサイトに作者の高木さんが次のように書いています。

最後まで、いちども顔を合わせない男女の恋愛ものをやってみたかった。ひと言で言ってしまえばそれで終わりなのだが、それはべつに既成の恋愛ものに不満があるとか、自身の恵まれない恋愛体験を投影したいとかいうわけではなく(事実恵まれてないが)、なにごとに対しても不器用な人びとを描いてみたいと思ったからにすぎない。

 会場となった新宿タイニイアリスのwebサイトに、座付き作家の高木登さんのインタビューが掲載されています。その中で高木さんが「『ラブストーリー』という看板に偽りなし、『複雑な愛の記録』というタイトルにも偽りなし。悲劇的な結末かハッピーエンドかは見てのお楽しみ、というところでしょうか」と言っていました。これもリアルな表現だと思います。


(追記 2005.6.30)
 「観劇インプレッション」サイトの「#10」さんは、ストーリーの特質を次のようにまとめています。

 特殊能力ゆえに普通ではない感性を持っているはずの主人公だが、その行動はとても率直な感情にもとづいており、なぜか共感できる。そして彼女は恋をしている、あるいは恋をしているつもりになっている。正常ではないけれど素直な姿勢で愛を伝えようとする。  しかし姿を見ることができても心まで読むことはできない。彼女の恋は悲劇で終わるが、ラストシーンは不思議と美しい印象を受けた。


[上演記録]
机上風景「複雑な愛の記録」
新宿タイニイアリス、6月14日-19日

【作】 高木登
【演出・出演】古川大輔
【出演】平山寛人/おもちゃ/浜恵美/川口華那穂/坂口哲

【舞台監督】 伊丸岡慎
【照明】 千田実
【音響】 堀越竜太郎
【宣伝美術】 佐藤友香
【写真撮影】 イナヤマミツハル
【制作】 又木恭一郎

Posted by KITAJIMA takashi : 10:42 PM | Comments (3) | Trackback

June 22, 2005

岩松了「センター街」(追記)

 Critic Line Projectの竹内孝宏さんが「センター街」のレビューをまとめています。先に掲載したレビュー紹介に追加ます。

 この作品を「デビュー作『お茶と説教』(1986年)と最新作『シブヤから遠く離れて』(2004年)のあいだにはさまって」いると指摘した上で、「そこで際立っているのは時系列的な連続性よりもむしろ断絶である」と述べています。初期作品に描かれたのがご近所という近隣関係が成り立つ場だったのに対し、「センター街」ではさまざまな階層が吸いこまれそのままダラダラと居ついてしまう「都市のブラックホール」「場ならざる場」に様変わりしたと言うのです。「これはあきらかに作家の時代認識であり、また80年代末から90年代半ばにかけてこの国が経験した地殻変動の演劇的要約であるといえる」と述べています。

 なるほどこう読解してみると、だらしなく間延びした印象を与えていたいくつかの断片が、ある必然性を持って織り込まれたのだと推測が可能です。

Posted by KITAJIMA takashi : 11:43 PM | Comments (0) | Trackback

June 21, 2005

とくお組「マンション男爵」

 慶応義塾演劇研究会出身の「とくお組」第4回公演「マンション男爵」が東京・渋谷の LE DECOで開かれました(6月15日-19日)。昨年のガーディアンガーデン演劇フェスティバルでは残念ながら出場枠から外れましたが、多くの審査員が実力を認める存在でした(「公開審査」参照)。ぼくも予選審査会場にいて、彼らのパフォーマンスに感心した記憶があります。
 明治通りに面したビルの5階。マンションの一室らしいフロアーが会場です。時間ぎりぎりに入場したら、すでに大きなテーブルを囲んで「男爵」たちが席に着いています。すぐにメンバー同士が口論したりして内輪もめの様子でした。

 一段落したところで、片想いに悩む若い男が、会場入り口から入ってきます。恋の成就のために、男爵たちがそれぞれの特技を生かして悩みの原因を特定し、さまざまな手段を駆使して解決策を授けていきます。コンピュータを使って分析するアナリスト(クロコダイル男爵)、恋の相手に他人の名を騙って電話するネゴシエーター(スネーク男爵)、ダンディー気取りで説教を繰り返し、挙げ句の果てに豹柄の服装を強要するホスト(タイガー男爵)、そしてトイレットペーパーで恋の行方をみせようとする占い師(ポテト男爵)はストーリーの節々でボケ役を演じてみせる…。エピソードの割り振りやストーリーの起伏作りなど腕は確かです。

 会場の使い方が変わっていました。テーブルと同じフロアーの3面に客席がセットされ、正面にはスクリーンが張られています。怪しげなデータ解析はここに大写しされるわけです。扉を開けてベランダでケイタイを傍受しようとすると、会場には街の騒音が飛び込んできてなんとなくリアルな感じがします。大詰め近く、恋敵を妨害しつつ、女の子の行動を見張る場面を「おはしょり稽古」サイトのあめぇばさんは「場所いじり」として次のように書いています。

 出演する役者を決めてから台本を書くことを「あて書き」と言うけど、今回のとくお組の公演は劇場版「あて書き」かもしれない。観客と同じドアから相談者は入り、クロコダイル男爵はベランダに通じる扉から外に出て、パソコンで相手の女の子の居場所を特定する。
「いました!」
「どこだ!」
「向かいのスターバックスコーヒーです!」
 この辺のやり取りは学園モノの学生劇団のノリだ。「マンション男爵」のすごい所はこの場所いじりを徹底させて、最後は実際に役者を(道路向かい側にある)スタバまで往復させてしまったところだ。(といっても真意は観客には分からないのだが)

 相談者を助けるつもりでアルバイト先の店長に電話したポテト男爵が、ささいなことでキレて店長と怒鳴り合いを演じたり、ケータイ傍受用のアンテナが鉄製のフライパンだったり、まことしやかな口舌と裏腹に、実際は恋の行方をあらぬ方向にそらす場面作りは会場の笑いを呼んでいました。この辺の呼吸は、好みの人にはこたえられないでしょう。よくできたシチュエーションコメディーと言っていいのではないでしょうか。ポテト男爵を演じた役者の個性が笑いに拍車をかけていました。

 今回の公演はおもしろかったのですが、フォーマルウエアに身を固め、舶来の「男爵」を演じる姿は、やはりどこか窮屈な印象を免れません。昨年のガーディアンガーデン演劇フェスティバルでみせたコント・パフォーマンスは軽快でしゃれていて、みていて気持ちが伸びやかになりました。しゃれたコントを連発して見せた舞台とガチガチに筋書きを固めた舞台と、劇団の才能の幅を見せてもらいましたが、これからどちらの流れに乗っていくのでしょうか。
(北嶋孝@ノースアイランド舎)

[上演記録]
とくお組 第四回公演『マンション男爵』
渋谷 LE DECO(6月15日-19日 )

脚本・演出 徳尾浩司
キャスト 堀田尋史、岡野勇、篠崎友、北川仁、鈴木規史、永塚俊太郎
舞台監督 高山隼佑
舞台美術 山崎愛子・久保大輔・金子隆一・恩地文夫
照明 中島誠
音響 とくお組
映像 岡野勇
制作 飯塚美江・菊池廣平・吉田陽子・佐藤仁美
宣伝美術 飯塚美江

Posted by KITAJIMA takashi : 10:19 PM | Comments (0) | Trackback
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