11月1日から新サイトに移行しました。URLは下記の通りです。リンクしている場合はURLを差し替えていただくようお願いいたします。

http://www.wonderlands.jp

June 04, 2005

strange GARDEN「マイン'05」

 strange GARDEN Ver.7.0「マイン'05」公演が東京・目白のアイピット目白で開かれました(5月26日-30日)。意欲的にレビューを書き続ける「おはしょり稽古」サイトの「あめぇば」さんがこの舞台を取り上げています(「伝えたいから人は創る」)。よく知られた劇団や話題のステージに大方の目は集中しがちですが、こういう芝居をきちんと記録する意味は決して小さくないと思います。

 物語はネットで知り合った人たちが集団自殺を図ろうとするのですが、いろいろと齟齬が生じて…という内容のようです。

 「あめぇば」さんはまず、「奇跡のような舞台だった。と言っても、褒めるところは見つからない。皆ものすごく下手だ」と切り出します。でもなぜか、惹かれます。その理由をこんな文章で綴っています。

喜劇も悲劇も飽きるほど書かれたこの設定で、演出家は役者の口を借りて「生きていこう」と呼びかけてくる。それまでの話の展開や辻褄なんかどうでもいいのでギャグで流しました、という感じすらある。直球極まりない台詞をつっかえつっかえ言う役者が、妙にリアルに感じられてくる。拙いギャグの連発で油断していると、つい観客は直球攻撃にやられる。(略) 痛々しいからではなく、正に中学生のようなひたむきな情熱に圧されてつい応援してしまう。切実なメッセージがあるということは表現活動で一番の原動力だと、久々に再確認した。 ダメ人間と自分を自覚する人が多い中で、この話は支持され続けるだろう。そういう意味でこれは奇跡のような舞台だ。

[上演記録]
strange GARDEN「マイン'05」アイピット目白(5月26日-30日)

作・演出: 佐藤隆輔

出演:
五味田扶美子
樋泉秀幸
舟橋晋
岩田章子
尾木亜紀子
佐東まんごろう
遠山悠介
佐藤隆輔

Posted by KITAJIMA takashi : 11:54 PM | Comments (0) | Trackback

June 03, 2005

メガトン・ロマンチッカー「モンスターとしての私」

 名古屋を拠点に活動している「メガトン・ロマンチッカー」の公演「モンスターとしての私」が5月25日から29日まで名古屋・東文化小劇場で開かれました。
 「#10の観劇インプレス」サイトによると、「フランツ・カフカの『変身』、佐世保の小6児童殺害事件、神戸の酒鬼薔薇事件、これらをモチーフに、「少女/変身/孵化」をテーマとした舞台」。「観劇の日々」サイトのしおこんぶさんは「芝居ではあるが、嘘はどこにもなかった」と印象的なフレーズを残しています。

 もう少し引用すると、「#10の観劇インプレス」サイトは次のように述べています。

芝居という面では一言。美しい舞台だった。以前からメガトン・ロマンチッカーの舞台はどの瞬間を切り取っても絵になると感じていたが、今回は特にそれが意識された演出だった。背伸びして描くことで力量不足が露呈する劇団も少なくないが、実力のある役者を揃えて、演技も満足のいくものだった。

 劇団のWebサイトに解説が載っています。書いたのはおそらく作・演出の刈馬カオスさんと思われます。

この物語を考えたのは、昨年の春前だった。
フランツ・カフカ『変身』を原作に、毒虫を、現代に生きる少女に置き換え、
友達を殺した罪から社会復帰したときの、家族・世間のリアクションを描く構想だった。
企画書をまとめた翌日、佐世保で事件が起きた。
衝撃を受け、現実を前にひるみもした。
だが、私たちは1人の表現者として、この問題へと立ち向かうのは責務だと考えた。
賭けに出た。
佐世保の小6児童殺害事件と、酒鬼薔薇聖斗の医療少年院仮退院。
当初の構想はそのままに、2つの事件を調査し、その要素を大きく取り入れた。
かなりダイレクトにストレートに、現実の事件を想起させる描写もある。
この選択は、私たちにとってリスクには違いない。
それでも私たちは挑むのだと、覚悟した。
加害者とその家族、被害者とその家族、誰もが納得する表現を。
そんな地平はないのかもしれないが、それでも求める。
丁寧に現実を見つめ、描写することで何かを発見することができるはずだ。
演劇の力。
私たちはそれを信じる。

この作品は、
社会派であり、
エンターテイメントであり、
等身大の私たちの物語であり、
そしてあくまでも、恋愛演劇だ。

しおこんぶさんは先のサイトで「こういった戯曲(現実にあった事件を元にしたもの等)は世の中にもっとあっていい。メディアとしての演劇とでもいうか、現実を見つめなおすきっかけになる芝居は想像力を刺激する」と述べています。その意味でも、名古屋だけの公演は惜しまれます。もっと広汎な人たちが見る機会をぜひ、用意してほしいと思います。

[上演記録]
「メガトン・ロマンチッカー」の公演「モンスターとしての私」
5月25日から29日、名古屋・東文化小劇場

作+演出=刈馬カオス

Company CAST
大久保明恵
岸良端女
来々舞子
浦麗

Guest CAST
久川徳明(劇団翔航群)
ヒート猛
時田和典
茂手木桜子
織田紘子

○ スタッフ
演出助手 山崎信人
照明+舞台監督 村瀬満佐夫(劇団翔航群)
劇中映像 田中博之
音響 菊森公介
選曲+舞台美術 刈馬カオス
宣伝美術 ル・ゴウ総合美術
制作 則武鶴代 梅村卓哉
制作協力 東海シアタープロジェクト
プロデューサー 大橋敦史(東海シアタープロジェクト)
企画・製作 メガトン・ロマンチッカー

○ 協力
松井組
シネマパルチザン
奥林劇団
猫足企画
田原幸二
デンキヒツジ(立体交差中心)

Posted by KITAJIMA takashi : 05:52 PM | Comments (0) | Trackback

June 01, 2005

平田オリザ/金明和作「その河をこえて、五月」

 「日韓友情年2005」記念事業の一環として開かれた公演「その河をこえて、五月」は2002年サッカーワールドカップ共同開催の年に生まれ、日本では朝日舞台芸術賞グランプリに輝き、韓国・ソウル公演でも好評を博して権威ある演劇賞を獲得、日韓ダブル受賞となった作品の再演でした(5月12日-29日、新国立劇場小劇場)。作者は日本側が平田オリザ。韓国側は1997年の劇作家デビュー後、立て続けに演劇賞を受賞した劇作家金明和。演出は李炳焄と平田オリザが共同で当たったそうです。
 新国立劇場Webサイトによると「言葉の通じない状況で、なんとか意思疎通を図ろうとする人々の姿。日韓の歴史的関係、家族の絆、在日問題。そして、国家観、習慣の違い、民族を超えて共感できる人間のつながり……。“異国間コミュニケーション”をテーマに、ソウルの人々が集うという河原の風景を切り取り、出会いと別れを織り込んだ会話のなかから、“日韓の現在”の断片が静かに描かれ」ます。

 「Somethig So Right」の今井さんは「最近の東アジアの政治状況は憂慮すべきだが、実は今年、日韓友情年、なのだそうだ。そうした政治状況は別にして、この作品時代は素晴らしい両国演劇人のコラボレーションだ」と押さえた上で、「平田オリザ流のいわゆる『静かな演劇』の調子が保たれており、派手な動きやドラマはないのだが、ひとつひとつの会話や出来事に、日韓関係がかかえる様々な問題が浮き彫りにされており、目が離せない。二時間半近い上演時間も気にならず、集中した」と述べています。

 「現代演劇ノート」サイトの松本さんは冒頭、次のように始めます。

再演となる『その河をこえて、五月』は、さしあたり〈文化(間)翻訳をめぐる物語=ドラマ〉といえようが、細かなエピソードやモノを介して展開していく話題の多くは、むしろ花見に集まった様々な人々の間に走る〈境界線〉を次々と浮かび上がらせてしまう。従って、展開につれて舞台は〈文化(間)翻訳が頓挫してく反・物語=ドラマ〉といった様相を深めていくのだが、不思議なことに、それと同時に、舞台には力強いまでの明るさが、とある深さをたたえながら満ちていくようなのだ。『その河をこえて、五月』とは、こうした不思議な、そして実に演劇的な魅力を持った作品なのである」

 ここにすべてが集約されていますが、そのあとで「相互理解」に関して次のように述べたくだりがあります。

最後まで会話は何度も挫折し、相互理解は思うようにいかず、双方が安定した場で、共有のコードによって何かが〈伝達=翻訳〉されることは、極めて少ない。となれば、問題なのは「こえる」ことでも「こえたあと」のことでもなく、文字通り「こえて」という、多面的に構成される溝をこえていこうとする絶えざる伝達可能性に向けた運動=意志であるに違いない。 このことは、舞台上ばかりでなく、舞台と客席の関係にも転移している。舞台では、何度か客席が河に見立てられるが、おそらく、日韓双方で上演されるこの作品は、他の多くの演劇作品(真価や意図はおくとして)が「通じる」と思っている言語や身体のコードをあてにしていない。むしろ、そうしたコードの成立が、極めて困難であるということを自覚するところから作られたのが『その河をこえて、五月』であり、だから、〈困難を引き受けながら、絶えざるつながるための営為を繰り返す〉という意味において、この物語は、演劇という形式を模倣しており、あるいは、演劇という表現形態に対して、上演それ自体を通じて批評的に関わろうとした意欲作であるとも言える。そうした言葉の正しい意味において『その河をこえて、五月』は「メタ・シアター」とも言えよう。

 平田演劇を系統的に読み解いてきた蓄積だけでなく、冷静な視線がリアルと演劇の形作る関係を見通しているように感じられます。

 東京公演は終わりましたが、大津・富山・北九州・神戸・富士見(埼玉県)で公演が予定されています。

[上演記録]
「日韓友情年2005」記念事業
その河をこえて、五月
 新国立劇場小劇場(5月13 日-29日)

 全国公演/大津・富山・北九州・神戸・富士見
   大津公演/びわ湖ホール
   富山公演/オーバード・ホール
   北九州公演/北九州芸術劇場
   神戸公演/神戸文化ホール
   富士見公演/富士見市民文化会館
   
作 : 平田オリザ/金 明和
演出 : 李 炳焄/平田オリザ

美術 : 島 次郎
照明 : 小笠原 純
音響 : 渡邉邦男
衣裳 : 李 裕淑/菊田光次郎
ヘアメイク : 林 裕子
演出助手 : 慎 鏞漢/申 瑞季
舞台監督 : 田中伸幸

芸術監督 : 栗山民也
主催 : 新国立劇場

協力 芸術の殿堂(ソウル・アート・センター)
後援 駐日韓国大使館 韓国文化院

三田和代 小須田康人 佐藤 誓 椿 真由美 蟹江一平 島田曜蔵
白 星姫 李 南熙 徐 鉉喆 鄭 在恩 金 泰希

Posted by KITAJIMA takashi : 08:27 PM | Comments (0) | Trackback

May 31, 2005

B級遊撃隊『破滅への二時間、又は私達は如何にして「博士の異常な愛情」を愛するようになったか』

 名古屋を拠点に活動しているB級遊撃隊の公演『破滅への二時間、又は私達は如何にして「博士の異常な愛情」を愛するようになったか』 が愛知県芸術劇場小ホールで開かれました(5月13日-15日)。タイトルはスタンリー・キューブリック監督の映画「博士の異常な愛情又は私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」のもじりですが、劇団のWebサイトによると、映画の原作ピーター・ブライアントの「破滅への二時間」という米ソ冷戦時代の核戦争の騒動を描いた小説にインスパイアされ、舞台を現在の日本にしたB級遊撃隊のオリジナル作品だそうです。

 アメリカの原子力潜水艦が日本海沖に潜航し、突如単独で北朝鮮に対し宣戦布告。北朝鮮はアメリカの宣戦布告とみなし、同盟国の日本や米軍基地へミサイル発射の準備態勢に入った。アメリカからは国家機密として処理したいとの連絡が入り日本の首相ら政治家は右往左往。しかし時間は容赦なく過ぎてついにミサイルが…。

 「#10の観劇インプレッション」サイトは次のように指摘しています。

 今回の舞台にはあの映画(キューブリック監督作品)以上に圧倒された。(略)  気の触れた米軍将校が勝手に戦争を始め、政治家は必死でそれを止めようとする構図は映画と同じだ。しかしこの舞台ではもうひとつ、ゲームという要素が加わる。プレイヤーが政治的な判断を下して日本の将来を決めるというゲームの描写が、次第に現実の政治家たちと混ざり合い、プログラマーの手を離れて暴走する。
 ゲームの場面では、極端に左寄りの道と極端に右寄りの道がいずれも滑稽に演じられる。ぼんやり観ていると政治的メッセージ性の強い作品と勘違いしかねない。しかしこの作品が伝えようとしているのは政治ではなく社会、あるいは個人の意識の問題だ。どちらを選択するかではなく、選択するとはどういうことかを問いかけてくる。

観劇の日々」サイトの「しおこんぶ」さんは次のように述べて「お勧め度8(10段階)」にしています。

 国防問題に関しての質問にYesかNoで応えていき、選択を間違えるとミサイルが打ち込まれてしまうというシュミレーションゲームに見立てて芝居が展開していく。現実的には選択肢が2択なんてことは無いのですが、これを2択にすることで問題を単純化してみたり、窮屈な選択を迫っておいて、酔っ払いのオッサンが居酒屋で議論しているようなレベルで総理大臣や国防庁長官を登場させるあたりは本当に巧いなと思います。あまりにも滑稽で、現実と非現実の間に見事に落としてくれました。

 第5回愛知県芸術劇場演劇フェスティバル参加作品。7月に大阪公演が予定されているようです。東京公演を期待したいですね。

[上演記録]
破滅への二時間、又は私達は如何にして「博士の異常な愛情」を愛するようになったか
愛知県芸術劇場小ホール(5月13日-15日)

作: 佃 典彦
演出:神谷尚吾
出演:
佃 典彦/神谷尚吾/山口未知
斉藤やよい/池野和典/山積かだい
徳留久佳/向原パール
/江副公二/加藤裕子

舞台監督:近藤朋文
照明   :坂下孝則
音響   :後藤佳子
衣装   :上海リル’S
小道具  :才谷組
大道具  :江副組
宣伝美術:純と寝々
協力   :飯田真司・石原淳
制作   :Y企画

Posted by KITAJIMA takashi : 03:36 PM | Comments (0) | Trackback
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