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May 11, 2005

コミュニケーションズ-現代劇作家たちによるコント集

 新国立劇場の「笑い」シリーズ第2弾は「現代社会におけるコミュニケーションについてさまざまな切り口から多様な視点を集めた、大喜劇集」(同劇場Webサイト)。日本劇作家協会と初めての共同企画で、別役実、いとうせいこう、ケラリーノ・サンドロヴィッチら実力派のほか、日本劇作家協会戯曲科の現役受講生たちの作品も取り上げ、演出の渡辺えり子が「昔のアチャコからはじまるようなベタな関西の笑いからシャープで都会的な笑い、落語的な笑い、漫才的な笑いなど、いろいろな笑いをごった煮にして、小劇場自体がヤミ鍋のように」仕立てようとしたそうです。

 ネット上での評判はあまり芳しくなかったようですが、「演劇時評」サイトの中村隆一郎さんが「11人の劇作家の作品を21のエピソード「場」にして構成した。その中には渡辺えり子が書いた「コミュニケーションズ」というコントを開幕からはじめて終わりまで都合六つ挿入し(略)がひとつのトーン・マナーを持っているのでそれがうまく句読点の役割を果たして飽きさせない工夫が施してある」と構成力を評価。さらに個別の作品を取り上げ、話のおもしろみや役者の演技などを丁寧に紹介、分析しています。
 コントは時代をつかむセンス、構成の切れ味など書き手、作り手の才能が露呈しやすい分野です。しかも演者との呼吸も欠かせません。さらに大事なことがあると中村さんは次のように指摘します。

コントという短い形式の喜劇は戦前の浅草の軽演劇に端を発し、戦後はやはり浅草のストリップ小屋の幕間に演じられた(略)。皮肉なことに浅草の観客にはコントを目当てに来るものは一人もいなかった。幕間をつなぐだけの短い時間にどれだけ観客の目を引きつけておけるかが即給金につながったから必死である。同じネタだが、客の反応を見ながら微妙に変えていくうちに練れてきて見ているものの心の琴線に触れるところまで来ると完成型である。(略)問題は浅草軽演劇-ストリップ幕間で育った形式というところに立ち返って考えた場合、観客の目によって練り上げられていく要素をどう取り込んでいけるかということである。

 観客の「鍛え」が何度も期待できないとすると、いまは台本の置かれた環境は厳しいというほかありません。特に1回限りの公演だと、それが先鋭的な形で表れるような気がします。

Posted by KITAJIMA takashi : 11:03 AM | Comments (0) | Trackback

April 30, 2005

青島レコード「ぼくにとどけきみのうたごえ」

 「スタイリッシュに、どこでもない世界を構築する青島レコードの新作。何処でもない世界でありながら、今作は透け見える現実世界へのリンク」と書き出したのは「休むに似たり。」サイトの「かわひ_」さん。「イデオロギーの強い、好みの別れる芝居かも知れません。が、あたしは語られていることはよくわかるし、好きな芝居」「嫌なこと痛いことを避けるためには考えることを止めてはいけないという強烈なメッセージは、ずしりと響きます」とまとめています。

 では、どんな物語だったのでしょうか。
 「2歳で成長を止めた兄。いつか彼を追い越し大人の仲間入りしようとしている弟。単に成長しない兄を描いているかと思わせる前半からやがて、この世界が、「架空の敵」とやら相手に戦争をずっと続けていることがわかってきます。兄に見えているのは、大人のしがらみとやらを理由に思考停止して、見えもしない敵相手に戦争をつづける、流される世界」(「休むに似たり。」)です。

 子供の兄、大人の弟という逆転した関係がカギになっているようですが、これが混乱の元になっていたかもしれません。「#10の観劇インプレッション」サイトは「なんだかよくわからなかった。不条理っぽい部分もあればシリアスな場面もあり、アンサンブルは何を表現しているのか不明。物語もごちゃごちゃ混ざり合っていて、何が本筋かつかめなかった。個々のシーンでの演出は何か上手な印象を受けるだけに、全体としてのまとまりがないのが残念だった」としています。

[上演記録]
青島レコード「ぼくにとどけきみのうたごえ」
4月21日-24日
世田谷シアタートラム

[作・演出] 岡田望
[出演] 山中崇/扇田拓也/中尾あや/大和広樹/諌山幸治 ほか

Posted by KITAJIMA takashi : 03:30 PM | Comments (0) | Trackback

April 29, 2005

G2プロデュース「キャンディーズ」

 小劇場の人気俳優を集め、独自のプロデュース公演を開いてきたG2プロデュース。その最新公演「キャンディーズ」が東京、福岡、大阪で開かれました。「福岡演劇の今」サイトの薙野信喜さんは「仕事と恋―命を賭けるほどに大事なものがふたつ、ひとりの中で同じ時にガチンコでぶつかる。恋の喜びが勝つが、そのことの代償は大きい。G2の純愛物語は、けっこう苦い」と述べています。
 G2プロデュースのWebサイトによると、物語は次のような設定で始まります。

 戦後復興のさなかにある昭和30年。向島石鹸は手作りの工場を次々と閉鎖、オートメーションによる大量生産へと切り替えていた。   唯一残された第三工場に立花社長(山西惇)の娘・美雪(須藤理彩)が女工員のしじみ(新谷真弓)を訪ねてやってくる。遅刻してきた新入工員と勘違いされた美雪は、暗い影のある職人・渡部(長谷川朝晴)と大げんか。勢い余って工員として働くことになってしまう。   ところがそこへ第三工場閉鎖と職人のリストラの通達。社長である父の横暴に怒る美雪は、あろうことに労働組合のリーダーとして反対運動を起こすことに。   だが、工員は瞬間湯沸かし器の伝介(内田滋)、のんびり屋の浜田(陰山泰)、20年前の事件以来口がきけなくなってしまった横山(廣川三憲)と、役に立ちそうな者はいない。唯一、頼りになりそうな工場長・松永(竹下宏太郎)も意外な行動に。しかも、闘う相手は美雪の許婚の君島(木下政治)だ。  そこへ助け船を出したのがラジオ東京のディレクター菅井(菅原永二)。労使交渉の場をラジオで生放送してくれることに。  こんな騒動のなか、美雪は渡部の暗い影の奥に眠る熱い想いを感じていく。君島という許婚がありながら、渡部に心を奪われていくのを止めることができない美雪。   だが、渡部は20年前の事件に心を閉ざしたままだ。  20年前の昭和初期、社長の立花は軍の要請もあり工場のひとつを合成洗剤用に改造した。そんな流れに逆らうように第三工場の職人・柴田(久保酎吉)は「キャンディーみたいな石鹸」を作るべく、小豆島のオリーブに目をつけていた。太平洋戦争の陰が迫る中、チャンスはやってきた。宮内庁からフランス王朝御用達と同じ質の石鹸をという要請があったのだ。喜び勇んでオリーブを買いつけ、新人の渡部と徹夜で作業する柴田。  だが、渡部が同僚の永井(草野徹)の恋人・美千子(須藤理彩・二役)に心を奪われてしまったことから、事態は意外な方向へ転がり落ちて……。  果たして、20年前にいったいどんな事件があったのか? 二つの時間に存在する二つの三角関係のゆくえは? そして、キャンディーみたいな石鹸を作りたかった柴田の想いは成就するのか?

 「井上ひさしの昭和庶民伝と見まごうような舞台だ。テーマによって変幻自在のG2の幅広さを見る」「設定したふたつの時間を一瞬にして鮮やかに飛びながら、ふたつの時間を繋ぐものをじっくりと描いていく。柴田の作った石鹸は20年の時を越えて生き延び、渡部の胸からいちどは消えた恋も20年の時を経てよみがえる。気持ちのいい甘酸っぱさでハッピーエンド」だそうです。

 ただ結末には若干の留保も。「惜しむらくは、白馬の王子が現れて渡りに舟と救われるというやや甘いラスト。気持ちよく終わらせたい気持ちはわからないでもないけれど」と述べています。

 ネットをざっと見てみましたが、おもしろいと今公演を買う人は多いのですが、このラストにはかなりの異論が出ていました。「エンディングが妙にすんなりうまくまとまってしまったのがちょっと・・・だった」(「ジェット☆ジェットCAFE」)「最後はあれよあれよとハッピーエンドで、「ええ?それでいいのか?」ってちょっと思ったけど、たまには大団円ってのもいいかな」(「Pauseな日々」)「ラストがちょっと都合いいなーと思いはしましたが、楽しめたのでオッケーです」(箱雑記)あたりが代表的なコメントでした。

 G2プロデュースのWebサイトはあらすじだけでなく、稽古日誌や役者のコメントなど盛りだくさんの内容です。ためになりました。
 また冒頭に紹介した「福岡演劇の今」で、G2さんが芝居の現場体験を披露したトークの様子が紹介されています(「G2さんの話がおもしろい」)。興味深いエピソードを盛り込んで読ませます。参考まで。


[上演記録]
◎G2プロデュース「キャンディーズ」(Candy's)

東京公演 下北沢・本多劇場(3月30日-4月10日)
福岡公演 天神・西鉄ホール(4月18日-20日)
大阪公演 シアター・ドラマシティ梅田芸術劇場(4月22日-24日)

作・演出:G2
出演:
須藤理彩、長谷川朝晴、竹下宏太郎、新谷真弓、木下政治、内田滋、豊原里美、草野徹、菅原永二、廣川三憲、山西惇、陰山泰、久保酎吉

Posted by KITAJIMA takashi : 11:59 PM | Comments (4) | Trackback

April 27, 2005

能劇「姥捨-OBASUTE-」

 名古屋の小劇場演劇の様子をウオッチするとき、「しおこんぶ」さんの「観劇の日々」サイトは欠かせません。最近、能劇「姥捨-OBASUTE-」公演を取り上げ、「日本的な侘び寂びを強く感じる良質の舞台でした。引き際の美しさとでもいうのでしょうか、万物の霊長たる人としての誇りや叡智があり、積み重ねられた落ち着きによって融和されていく、理想の年寄り像がそこにあった気がします」と評価していました。

 作、振り付けの原智彦はロック歌舞伎「スーパー一座」の座長。「なにげにひたすら、ただただお山へ参る婆をものすごく美しく踊ってみたいと思い」「(元たまの)知久寿焼の音にゆられ、ふらり私はお山参る」という趣向です。
 4トンの流木と3,000足のビーチサンダルで作られた空間。「日頃忙しくしている人にこそ観て欲しい舞台。お勧め度8(10段階)」と述べています。


[上演記録]
◎能劇「姥捨-OBASUTE-」
 KDハポン(KDJapon)
 4月15日から5月1日まで変則10日間公演

作・振り はらともひこ
出演:
婆-ババー・男 原智彦
少女 茂手木桜子、夕沈
息子 野畑幸治
ムシ ムシムシガールズ・ムシムシボーイズ
スタッフ:
音楽 知久寿焼(元・たま)
舞台美術 岡部玄
宣伝美術・演出協力 天野天街
衣装 久野周一
映像 木下竜太
音響 森田太朗
制作 小瀬木いづみ、渋谷紘子、ハポンフェスproject

Posted by KITAJIMA takashi : 02:43 PM | Comments (2) | Trackback
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