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April 14, 2005

双数姉妹「ラバトリアル lavatorial」

 双数姉妹「ラバトリアル lavatorial」公演が東京・新宿のTHEATER/TOPSで開かれました(4月1日-10日)。

しのぶの演劇レビュー」は「久しぶりに拝見したのですが、ストーリーも演出もとても面白かった」と述べています。どんなお話なのでしょうか-。「Badlands ?映画と芝居と音楽と?」は次のように紹介します。

舞台上にはトイレのセットで、正面に男性用の小便器が3つ、その横には個室が2つ並んでいる。掃除のおばさん(野口かおる)が清掃をしていると、気弱そうな男ノムラ(今林久弥)がひとり逃げ込んできて、個室に閉じこもってしまう。それを追うようにやってきた二人組。ヤギサワ(小林至)とフルイド(佐藤拓之)は、TV局のプロデューサーとディレクターだった。どうやらノムラは、原稿が出来ない脚本家で、ヤギサワとフルイドは、なんとか書き上げるようにと脚本家を宥めすかして出て行く。 昔から公演日ぎりぎりまで本を書き上げることができない脚本家だったノムラには、かつて小さな劇団の座付作家だった時代に、台本の内容をめぐり劇団の女優マサメ(帯金ゆかり)を追い詰めてしまった苦い思い出があった。一方、掃除のおばさんにも、やはり脚本家だった恋人を失った過去があった。舞台は、個室に閉じこもることになったおばさんとノムラのやりとりから、ふたりの昔話が再現され、やがてそれが現在の物語とシンクロしていく。

某日観劇録」は「脚本家の苦労という点では時に細かすぎるほど丁寧に描いているのですが、芝居全体については「それで?」というレベルに留まってしまったという印象です。あちこちに客演するほど実力十分な役者のそろっている劇団ですが、今回は主人公である脚本家(今林久弥)以外の登場人物の印象があまり残りません」と書いています。

デジログからあなろぐ」は次のように指摘しています。

物語構造として丁寧な印象を受ける・・・新しいものを追求する姿勢よりも、描くべき言葉を描くための舞台を作っている。 内面世界と向き合う場所としてのトイレが、スクリーンに内的記憶を排泄する場所として書かれている。 トイレの性質を逆手に取った事で、そこに1つのメッセージが付加されてしまったといえる・・・同じ話を「トイレ」というキーワード無く書くことは容易ではあるが、きっと作家性を巡る物語にしかならなかっただろう。 トイレのトイレ性とでも言うべき人間が共通して持つ感覚を、作家というか1人の人間に投影させることで、1つ内面に入った物語に仕上がったという気がする」と

a piece of cake !」は「彼らの芝居にはどこか、大学の演劇サークルの青臭く、懐かしい香りがする。いや、これは決して悪口ではない」。また「Badlands ?映画と芝居と音楽と?」は役者らを次の通り褒めています。

役者は全員いい。男性陣では、主人公の脚本家を演じる今林久弥、声がとても魅力的な小林至、そして佐藤拓之あたりが特に目立ったが、それ以上に女優陣が素晴らしい。ワケあり掃除婦の野口かおるは不思議な存在感で、場にユーモラスな空気をもたらす。それと対照的に、神経症的な雰囲気をふりまく井上貴子。大きな成長を遂げたのが吉田麻起子。女優陣の中では突出して可愛らしく、それ故に前作では一人浮き上がっていた感もあったが、今回は彼女がそこにいる必然性をしっかりと感じさせてくれた。まだまだ「頑張って演技をしている」という感じが透けて見えるが、今後の更なる成長に期待がかけられる。そして一番の見物は北京蝶々から客演の帯金ゆかり。あの得体の知れぬ存在感は一体何だろう? ぜひ他の芝居も見てみたいと思わせる力に満ちていた。


[上演記録]
双数姉妹「ラバトリアル lavatorial」
THEATER/TOPS提携公演
2005年4月1日〈金〉~4月10日〈日〉

脚本・演出:小池竹見
出演:佐藤拓之 今林久弥 野口かおる 井上貴子 五味祐司 小林至 吉富光宏 中村靖 阿部宗孝 大倉マヤ 近藤英輝 吉田麻起子
帯金ゆかり(北京蝶々)

Posted by KITAJIMA takashi : 11:33 PM | Comments (0) | Trackback

April 11, 2005

中野成樹(POOL-5)+フランケンズ「ラブコメ」

 「白鳥のめがね」サイトは東京・麻布のディー・プラッツで開かれた中野成樹(POOL-5)+フランケンズ「ラブコメ」(原作/モリエール『女房学校』)をみて、「喜劇としてのテンポの良さみたいなものはなく、緩慢なリズムが持続する」と押さえたあと次のように指摘しています。

たぶん、主人公の男を嘲笑したおすというのが、本来のモリエールの戯曲のねらうところであり、それをテンポ良く畳み掛けて取り違いのドラマの中で策に溺れて翻弄される様を見せるところに喜劇としての面白みがあるということになるだろうが、そのテンポを思いっきり落として、スローテンポな舞台を作ることで、喜劇的枠組みの中のドラマの側面がむしろ浮かび上がる。

 4月に入って、横浜STスポットでも同じ公演がありました。「白鳥のめがね」サイトはここもフォローして、主人公ド・ラ・スーシュが夢見ていたアニェスとの結婚が挫折する結末が、麻布ディー・プラッツ版と横浜STスポット版では微妙に違ったと指摘しています。

今回、その男の描写がちょっと違っていた。前回は退場してしまったド・ラ・スーシュは、今回は、自分が育て上げ、結婚しようとしていた娘の部屋へと放心したように歩み入って、呆然とあたりを見回すようにして、終わる。 自分の計画すべてが崩壊したところで、自分のしたことを苦渋と共に思い返す男、というところだろうか。なんというか、喜劇の主人公を人間味ある存在に変えて、喜劇の内なるドラマを救い出すようなものになっているというところだろうか。

[上演記録]
◎中野成樹(POOL-5)+フランケンズ 『ラブコメ』(原作:モリエール『女房学校』)
 3月28日-29日、麻布die pratze
 4月08日-10日、横浜・STスポット

構成・演出=中野成樹
出演=村上聡一 福田毅 野島真理 石橋志保

Posted by KITAJIMA takashi : 09:15 PM | Comments (0) | Trackback

April 09, 2005

フォルクスビューネ「終着駅アメリカ」(続)

 フォルクスビューネ「終着駅アメリカ」に関して、いつにもまして公演評が多くネットに掲載いされたようです。先に4月2日付で紹介しましたが、さらに本日、以下のレビューを追記しました。

 「大岡淳の反資本主義日記」は「フランク・カストルフ演出『終着駅アメリカ』に関する限り、確かに『過去の上演史を参照する』手法がここでも採用されているのだけれど、一点大きく異なるのは、その『参照』という作業を施した痕跡が、あからさまに舞台上に露呈してしまっている」と指摘。「各場冒頭の舞台の設定を指示するト書き」の処理に関して詳細に分析しています。
 大岡さんは他のメーリングリスト(舞台研究MLエウテルペ)でもこの公演について言及しています。

 また「わぁ。(驚きに満ちた小さな悲鳴)」のqueequegさんは原作の固有名詞を読み替えている個所を列挙しながら「原作においては交換可能な記号に過ぎなかったものが、そのコノテーションを思いっきり引き出されて政治とサブカルのにぎやかなコラージュを織り成してる。まあそうとうベタっちゃベタな世界観だけど、まあ普通に楽しい」と述べています。

Posted by KITAJIMA takashi : 12:38 AM | Comments (0) | Trackback

April 07, 2005

青年団「御前会議」

 青年団「御前会議」(こまばアゴラ、3月17日-30日)公演が「春の団まつり2005」シリーズに組み込まれて開かれました。『ヤルタ会談』『忠臣蔵・OL篇』に続く、平田オリザの会議シリーズ第3弾です。

 このWonderlandサイトの常連執筆者だった松本和也さんは4月から独立。自分のwebログサイト「現代演劇ノート~〈観ること〉に向けて」で「御前会議」公演を「政治・形式・紋切型 」のタイトルで取り上げました。「平田オリザの新作『御前会議』は、『もう風も吹かない』にも増して、90年代に培われた平田戯曲の文法(スタイル)に忠実に、しかも体裁としてはよりシンプルに、それでいて会議という場に縦横かつ動的に仕掛けられた関係の網目は複雑に、(当たり前だが)『演劇入門』の作劇法を見事なまでに生かした佳作だったように思う」と切り出しています。

 平田作品は初めてという「演劇時評」の中村隆一郎さんは「平田オリザの重層的な問題意識が平明な言葉で語られ、人間が構成している社会というものの本質にも迫る、知的なユーモア漂う傑作と言っていいと思う」とまとめています。その上で、野田秀樹の手法との違いや、昭和天皇の「お言葉」に関する引用など、興味深い考察があります。

 「デジログからあなろぐ」サイトは「一見町内会のメンバーと、共通項の無い幾つかの議題、それらは殆どなんの解決案も提示されないままにどんどん先送りにされていく・・・それは何故であろうか? つまり、この会議は、結論を出したくない会議なのである」と指摘。責任の所在が不透明で、むしろ中心が空っぽなのに、人間関係の部分で議論が熱くなる日本的な体質が浮き彫りにされているようです。

Posted by KITAJIMA takashi : 12:32 AM | Comments (0) | Trackback
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