11月1日から新サイトに移行しました。URLは下記の通りです。リンクしている場合はURLを差し替えていただくようお願いいたします。

http://www.wonderlands.jp

December 10, 2004

『シルヴィ・ギエム、コンテンポラリーを踊る』

 東京・五反田のゆうぽうと簡易保険ホールで『シルヴィ・ギエム、コンテンポラリーを踊る』公演が開かれました(11月30日、12月1-2日)。今回は欧米で注目されているラッセル・マリファントが振り付けた3作品「ブロークン・フォール」「トーション」(ねじれの意)「Two」が上演されました。ダンスレビューなどを掲載している「ine's daypack」サイトはマリファントの振り付けに関して「ゆうぽうとのような大きなホールで、ファン目当ての上気した観客たちを前にやるのとは方向性が違うのではないか。スターを使わずに、シアタートラムくらいの小屋で、落ち着いた雰囲気でやるのがいい」と「上演のあり方にミスマッチ」があるとまず指摘。その理由について次のように述べています。

 「マリファントの振付は、ダンサーの身体が細部までクリアに見えてこそ、その素晴らしさが十分に味わえるのではないか、と思えてならないからだ。彼の振付を見ていると、スピード感がじわじわと伝わってくる。ユニークなのは、そのスピード感が物理的速度によって生まれているのではないということ。それは運動の継続性によって与えられるのだ。運動を司っているダンサー自身よりも、身体の部分に生じさせた運動の方が主役になっているように見えた。運動の継続の滑らかさの影で、ダンサーの身体は運動のメディアとして隠れて存在している。運動は時には切断されるのだが、それはダンサーが主体性を発揮する瞬間というよりも、運動の消滅として体験された」

 また「No hay banda」サイトは各作品を次のように描写しています。

「最初の『トーション』(ねじれの意)は男2人(マイケル・ナンとウィリアム・トレヴィット)によるもので、ギエムが出ないので「どんなもんかな」と思っていたら、驚くべき作品でした。(中略)2番目の『Two』は照明で区切られた約2メートル四方のなかでギエムがソロで踊ります。(中略)残像効果がある照明によってギエムの動きが重層的に見えるようにする仕掛けもあり、これも素晴らしい作品です。最後の『ブロークンフォール』は『トーション』にギエムが加わったような作品ですが、2+1が5にも6にもなった印象を受けました。『肉体による綾取り』『肉体による立体的万華鏡』とでも呼べばいいのか、とにかく肉体の動きそのものの美しさが満喫できます」

Posted by KITAJIMA takashi : 08:59 PM | Comments (2) | Trackback

December 01, 2004

燐光群「フィリピン ベッドタイム ストーリーズ」

 相変わらず精力的に活動を続ける燐光群が、フィリピンの劇作家育成プログラム「P.D.P (Playwright Developmant Program)」から生まれた作品を取り上げました(東京、森下スタジオ、11月24-29日)。このプログラムは劇作家、俳優、演出家らが96年から定期的にリーディング・作品分析を繰り返し、その中で選ばれた優秀作を上演する仕組みだそうです。文化庁在外研修でフィリピンに留学した演出家・吉田智久の本格デビュー作。2003年夏・マニラでの試演会を経て日本公演にこぎ着けました。公演は「ドゥルセの胸に1000の詩を」「代理母ビジネス」「離れられない」の3部(3作品)構成で、いずれも人間が産まれ、死んでいく場所「ベッド」を舞台にした作品です。

 「漂泊する思考空間」は次のように始めています。

 「燐光群の俳優3人、フィリピンの俳優4人が作り出す舞台は、フィリピン俳優による『離れられない』→日本人俳優による『ドゥルセの胸に1000の詩を』→全員による『代理母ビジネス』→日本人俳優による『離れられない』→フィリピン人俳優による『ドゥルセの胸に1000の詩を』という順番で進められた。ホテルの一室のような舞台にはひとつのベッド。そこで二国のことばも身体も乱れあい、交錯する。いや、日本人の日本語によってなされるはずのケータイ電源オフを命じる館内放送が、フィリピン人によるカタコトの日本語によってなされたときから会場全体が演劇的な混沌を獲得していた」

 さらに「異質なものを歓待し、すべてを吸収してしまうベッド」に「人間臭さ」を付与する「演劇の力」をみているようです。

 燐光群Webサイトに各作品ごとの出演者や、演出担当者、フィリピン出演者らのことばなどが載っています。

【上演記録】
演出=吉田智久
訳=桑山沙衣子
上演台本・芸術監督=坂手洋二

<出演>
Rody Vera Jojit Lorenzo Mailes Kanapi Raye Baquirin
川中健次郎 向井孝成 宇賀神範子

<スタッフ>
照明=竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響=島猛(ステージオフィス)
美術=じょん万次郎+丸岡祥宏
舞台監督=丸岡祥宏
衣裳=大野典子
演出助手=清水弥生
通訳=圓岡めぐみ
照明操作=大西孝洋・樋尾麻衣子
音響操作=内海常葉
字幕操作=塚田菜津子
舞台協力=森下紀彦
宣伝写真=竹中圭樹
宣伝意匠=高崎勝也
舞台写真=大原狩行
制作=古元道広 國光千世 近藤順子

共催=財団法人セゾン文化財団
後援=フィリピン大使館 独立行政法人国際交流基金
平成16年度文化庁芸術団体重点支援事業

Posted by KITAJIMA takashi : 07:47 PM | Comments (0) | Trackback

November 30, 2004

パラドックス定数「5seconds」

 東京の王子小劇場で11月初めから、佐藤佐吉演劇祭が開かれています(来年1月初めまで)。同劇場のサイトで「注目すべき作品・才能が集まった時にのみ開催」するとうたっていますが、「小劇場の青田刈りをするなら、今ここ(王子小劇場の演劇フェスティバル)に足を運ぶのが最も確実です」(踊る芝居好きのダメ人間日記)と言われるほど評判が高いようです。参加8劇団のトップは、1998年から活動している「パラドックス定数」の「5seconds」公演でした。1982年に実際に起きた羽田沖日航機墜落事故を扱い、生き残った機長と、真相を追う弁護士による2人芝居。力のこもったレビューが続きました。

 同劇場サイトによるとこのステージは「事故について口を閉ざす機長と執拗に追う弁護士。墜落直前の空白の五秒間、コックピットの中では何が起きていたのか。1999年初演の作品を大幅改訂しての再演。四方を客席に囲まれた、真っ向勝負の2人芝居」だそうです。

 「2人芝居ならではの緊張感に加えて男同士の机上の戦いはゾクゾクします。役者さんも達者です」と言うのは「しのぶの演劇レビュー」。さらに「パラドックス定数はこれまでにも実際に起こった社会問題や事件を題材に作品を作ってきたそうで、これからもその路線が続くようです。次回もぜひ観に行こうと思います」とエールを送っています。

 「Review-lution! on-line」は「一人一人の人間と社会の関係が置き去りにされる現代において、大事故の渦中に在る個人の葛藤にスポットライトを当てた『5seconds』は、『社会と個人の相克』という近代芸術の根本的テーマを内包した、いうなれば演劇の王道といっても良いのかもしれない」「演劇ファンのみならず、万人にとって必見の劇団」と述べています。

 生き残った機長より、相方の弁護士に注目するのが「休むに似たり。」です。「劇中現れる弁護士は、弁護団の中での『もっとも下っ端』。…会社という組織がどうやって個人を切り捨てていくか、その過程とともに、弁護団という組織の中での弁護士の位置がだぶります。どうやって、組織に抗っていくかという『ひと』の芝居なのだ」と分析します。

 この視点をさらに掘り下げ、劇構造に投影したのが「X-ray」の着想でした。「燐光群『CVR』と比較した初日評をいくつか読んで出掛けたせいか、へそ曲がりの私には、これを事件簿、社会派の芝居だと括り『いかに真実味があったか』という点だけで優劣を評価するのは、惜しいような気がした」と最初に見解を留保したあと、「全てが、弁護士・日向の独り言(=分裂した日向Aと日向Bの内面の対話)に見え、一人の人間の中にある様々な葛藤を、一見、対極にあって相容れないかのような大きな振り幅ながら、最後にある決断を持って収拾させるための、自身の投影=片桐であったように感じる」と述べています。この引用個所だけなく、ぜひ当該ページで全文をご覧ください。

 パラドックス定数は「ここ数年は社会派で重厚な作品を生みだしている。出演者は男性のみ。密室での会話劇。凄まじいほどの緊張感を孕んで進行する物語が特徴」(同劇場サイト)と言います。ことばを変形・解体するステージが最近少なくない中で、ことばに依拠し、ことばにこだわる本格的な会話劇は珍しくなりました。次回公演が楽しみです。


【上演記録】
■パラドックス定数「5seconds」
 2004.11.1-11.2, 11.8-11.9, 11.15-11.16 王子小劇場
 作・演出 / 野木萌葱
 出演 / 植村宏司・十枝大介

Posted by KITAJIMA takashi : 11:21 PM | Comments (0) | Trackback

November 27, 2004

上海歌舞団

 第11回神奈川国際芸術フェスティバル/コンテンポラリー・アーツ・シリーズの「上海歌舞団」公演が11月21日と23日、神奈川県民ホール大ホールで開かれました。弱冠23歳で芸術監督に就任した黄豆豆は、中国ダンス界の先端をゆくコンテンポラリーな表現で注目され、今回の公演ではソロ、振付も。コンドルズの近藤良平が上海に滞在して振付けた新作も予定され、公演の前評判も高かったようです。
 「ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。」サイトの曽田修司さんは、跡見学園女子大学マネジメント学部教授。芝居やコンテンポラリーダンスの現場に足を運んで「日々の発見」を報告しています。 23日の公演をみて「若き天才ダンサーにして同歌舞団の芸術監督である黄豆豆(ホアン・ドウドウ)のシャープでダイナミックな動きにはさすがに唸らせられるが、正直なところ、やや見せ場が少ないという印象」と述べた上、「8作品中、日本の近藤良平(コンドルズ)が振り付けた作品がコミカルな小品で異彩を放っていた」と報告しています。

 「ヤサぐれ者の魔窟vs発掘亭日乗越」サイトでダンス評論家の乗越たかおさんは「民族舞踊っぽさ全開であり、そこが合わない人もいるだろうが、フランス・タイプみたいじゃないからといって切り捨てるような狭量では『何でもあり』のコンテンポラリー・ダンスの名がすたるというものだ」と書いています。このページには黄豆豆の写真も載っていますね。

Posted by KITAJIMA takashi : 03:13 PM | Comments (0) | Trackback
 1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9  |  10  |  11  |  12  |  13  |  14  |  15  |  16  |  17  |  18  |  19  |  20  |  21  |  22  |  23  |  24  |  25  |  26  |  27  | 28 |  29  |  30  |  31  |  32  |  33  |  34  |  35  |  36  |  37  |  38  |  39  |  40  |  41  |  42  |  43  |  44  |  45  |  46  |  47  |  48  |  49  |  50  |  51  |  52  |  53  |  54  | all pages