11月1日から新サイトに移行しました。URLは下記の通りです。リンクしている場合はURLを差し替えていただくようお願いいたします。

http://www.wonderlands.jp

April 30, 2005

青島レコード「ぼくにとどけきみのうたごえ」

 「スタイリッシュに、どこでもない世界を構築する青島レコードの新作。何処でもない世界でありながら、今作は透け見える現実世界へのリンク」と書き出したのは「休むに似たり。」サイトの「かわひ_」さん。「イデオロギーの強い、好みの別れる芝居かも知れません。が、あたしは語られていることはよくわかるし、好きな芝居」「嫌なこと痛いことを避けるためには考えることを止めてはいけないという強烈なメッセージは、ずしりと響きます」とまとめています。

 では、どんな物語だったのでしょうか。
 「2歳で成長を止めた兄。いつか彼を追い越し大人の仲間入りしようとしている弟。単に成長しない兄を描いているかと思わせる前半からやがて、この世界が、「架空の敵」とやら相手に戦争をずっと続けていることがわかってきます。兄に見えているのは、大人のしがらみとやらを理由に思考停止して、見えもしない敵相手に戦争をつづける、流される世界」(「休むに似たり。」)です。

 子供の兄、大人の弟という逆転した関係がカギになっているようですが、これが混乱の元になっていたかもしれません。「#10の観劇インプレッション」サイトは「なんだかよくわからなかった。不条理っぽい部分もあればシリアスな場面もあり、アンサンブルは何を表現しているのか不明。物語もごちゃごちゃ混ざり合っていて、何が本筋かつかめなかった。個々のシーンでの演出は何か上手な印象を受けるだけに、全体としてのまとまりがないのが残念だった」としています。

[上演記録]
青島レコード「ぼくにとどけきみのうたごえ」
4月21日-24日
世田谷シアタートラム

[作・演出] 岡田望
[出演] 山中崇/扇田拓也/中尾あや/大和広樹/諌山幸治 ほか

Posted by KITAJIMA takashi : 03:30 PM | Comments (0) | Trackback

April 29, 2005

G2プロデュース「キャンディーズ」

 小劇場の人気俳優を集め、独自のプロデュース公演を開いてきたG2プロデュース。その最新公演「キャンディーズ」が東京、福岡、大阪で開かれました。「福岡演劇の今」サイトの薙野信喜さんは「仕事と恋―命を賭けるほどに大事なものがふたつ、ひとりの中で同じ時にガチンコでぶつかる。恋の喜びが勝つが、そのことの代償は大きい。G2の純愛物語は、けっこう苦い」と述べています。
 G2プロデュースのWebサイトによると、物語は次のような設定で始まります。

 戦後復興のさなかにある昭和30年。向島石鹸は手作りの工場を次々と閉鎖、オートメーションによる大量生産へと切り替えていた。   唯一残された第三工場に立花社長(山西惇)の娘・美雪(須藤理彩)が女工員のしじみ(新谷真弓)を訪ねてやってくる。遅刻してきた新入工員と勘違いされた美雪は、暗い影のある職人・渡部(長谷川朝晴)と大げんか。勢い余って工員として働くことになってしまう。   ところがそこへ第三工場閉鎖と職人のリストラの通達。社長である父の横暴に怒る美雪は、あろうことに労働組合のリーダーとして反対運動を起こすことに。   だが、工員は瞬間湯沸かし器の伝介(内田滋)、のんびり屋の浜田(陰山泰)、20年前の事件以来口がきけなくなってしまった横山(廣川三憲)と、役に立ちそうな者はいない。唯一、頼りになりそうな工場長・松永(竹下宏太郎)も意外な行動に。しかも、闘う相手は美雪の許婚の君島(木下政治)だ。  そこへ助け船を出したのがラジオ東京のディレクター菅井(菅原永二)。労使交渉の場をラジオで生放送してくれることに。  こんな騒動のなか、美雪は渡部の暗い影の奥に眠る熱い想いを感じていく。君島という許婚がありながら、渡部に心を奪われていくのを止めることができない美雪。   だが、渡部は20年前の事件に心を閉ざしたままだ。  20年前の昭和初期、社長の立花は軍の要請もあり工場のひとつを合成洗剤用に改造した。そんな流れに逆らうように第三工場の職人・柴田(久保酎吉)は「キャンディーみたいな石鹸」を作るべく、小豆島のオリーブに目をつけていた。太平洋戦争の陰が迫る中、チャンスはやってきた。宮内庁からフランス王朝御用達と同じ質の石鹸をという要請があったのだ。喜び勇んでオリーブを買いつけ、新人の渡部と徹夜で作業する柴田。  だが、渡部が同僚の永井(草野徹)の恋人・美千子(須藤理彩・二役)に心を奪われてしまったことから、事態は意外な方向へ転がり落ちて……。  果たして、20年前にいったいどんな事件があったのか? 二つの時間に存在する二つの三角関係のゆくえは? そして、キャンディーみたいな石鹸を作りたかった柴田の想いは成就するのか?

 「井上ひさしの昭和庶民伝と見まごうような舞台だ。テーマによって変幻自在のG2の幅広さを見る」「設定したふたつの時間を一瞬にして鮮やかに飛びながら、ふたつの時間を繋ぐものをじっくりと描いていく。柴田の作った石鹸は20年の時を越えて生き延び、渡部の胸からいちどは消えた恋も20年の時を経てよみがえる。気持ちのいい甘酸っぱさでハッピーエンド」だそうです。

 ただ結末には若干の留保も。「惜しむらくは、白馬の王子が現れて渡りに舟と救われるというやや甘いラスト。気持ちよく終わらせたい気持ちはわからないでもないけれど」と述べています。

 ネットをざっと見てみましたが、おもしろいと今公演を買う人は多いのですが、このラストにはかなりの異論が出ていました。「エンディングが妙にすんなりうまくまとまってしまったのがちょっと・・・だった」(「ジェット☆ジェットCAFE」)「最後はあれよあれよとハッピーエンドで、「ええ?それでいいのか?」ってちょっと思ったけど、たまには大団円ってのもいいかな」(「Pauseな日々」)「ラストがちょっと都合いいなーと思いはしましたが、楽しめたのでオッケーです」(箱雑記)あたりが代表的なコメントでした。

 G2プロデュースのWebサイトはあらすじだけでなく、稽古日誌や役者のコメントなど盛りだくさんの内容です。ためになりました。
 また冒頭に紹介した「福岡演劇の今」で、G2さんが芝居の現場体験を披露したトークの様子が紹介されています(「G2さんの話がおもしろい」)。興味深いエピソードを盛り込んで読ませます。参考まで。


[上演記録]
◎G2プロデュース「キャンディーズ」(Candy's)

東京公演 下北沢・本多劇場(3月30日-4月10日)
福岡公演 天神・西鉄ホール(4月18日-20日)
大阪公演 シアター・ドラマシティ梅田芸術劇場(4月22日-24日)

作・演出:G2
出演:
須藤理彩、長谷川朝晴、竹下宏太郎、新谷真弓、木下政治、内田滋、豊原里美、草野徹、菅原永二、廣川三憲、山西惇、陰山泰、久保酎吉

Posted by KITAJIMA takashi : 11:59 PM | Comments (4) | Trackback

April 27, 2005

能劇「姥捨-OBASUTE-」

 名古屋の小劇場演劇の様子をウオッチするとき、「しおこんぶ」さんの「観劇の日々」サイトは欠かせません。最近、能劇「姥捨-OBASUTE-」公演を取り上げ、「日本的な侘び寂びを強く感じる良質の舞台でした。引き際の美しさとでもいうのでしょうか、万物の霊長たる人としての誇りや叡智があり、積み重ねられた落ち着きによって融和されていく、理想の年寄り像がそこにあった気がします」と評価していました。

 作、振り付けの原智彦はロック歌舞伎「スーパー一座」の座長。「なにげにひたすら、ただただお山へ参る婆をものすごく美しく踊ってみたいと思い」「(元たまの)知久寿焼の音にゆられ、ふらり私はお山参る」という趣向です。
 4トンの流木と3,000足のビーチサンダルで作られた空間。「日頃忙しくしている人にこそ観て欲しい舞台。お勧め度8(10段階)」と述べています。


[上演記録]
◎能劇「姥捨-OBASUTE-」
 KDハポン(KDJapon)
 4月15日から5月1日まで変則10日間公演

作・振り はらともひこ
出演:
婆-ババー・男 原智彦
少女 茂手木桜子、夕沈
息子 野畑幸治
ムシ ムシムシガールズ・ムシムシボーイズ
スタッフ:
音楽 知久寿焼(元・たま)
舞台美術 岡部玄
宣伝美術・演出協力 天野天街
衣装 久野周一
映像 木下竜太
音響 森田太朗
制作 小瀬木いづみ、渋谷紘子、ハポンフェスproject

Posted by KITAJIMA takashi : 02:43 PM | Comments (2) | Trackback

April 26, 2005

劇団、本谷有希子「乱暴と待機」

 「劇団、本谷有希子」の第9回公演「乱暴と待機」が新宿シアターモリエールで開かれました(4月8日-17日)。自分の名前を劇団名にする1979年7月生まれの23歳。第7回公演の「石川県伍参市」が岸田國士戯曲賞の候補作になり、「ユリイカ」「新潮」などにエッセーや小説を執筆。この4月からニッポン放送「オールナイトニッポン」のパーソナリティーも務め、小説「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(04年12月「群像」掲載)が三島由紀夫賞の候補作になるなど、いま注目の作家です。ネット上に公演レビューも数多く掲載されています。

 劇団のWebサイトによると、あらすじというか、次のような設定で物語が進行するようです。

成功者だったはずの男は毎夜、女を観察するため屋根裏に潜む。 男の人生をうっかり滅茶苦茶にした女はそれを黙認し、美貌を隠し、憂さ晴らしに付き合ってやる。 二人の間にセックスはない。恨む側と恨まれる側という関係を崩してはならないからだ。 穴から部屋を覗きながら、男は今日もこの世で最も惨い復讐方法を考え続けている。 穴から視線を感じながら、女は今日もこの世で最も酷い罰が自分に下されるのを待ち続けている。 だが、いつまでたっても復讐が実行される気配はない。 事故のあった日から来週で12年目-男の30歳の誕生日だ。
 2人の関係は舞台でどう具体化されているのでしょうか。「Somethig So Right」サイトは次の個所をピックアップしています。
中学時代のイジメ体験から、他人の顔色を極端に気にするようになった女。男が復讐の方法を思いつくまで、男と同居してすでに六年。毎晩、寝る前に二人はこんな会話をする。  「おにいちゃん、明日は思いつきそう?」  「思いつくさ」  「そう、よかった」
 象徴的かもしれませんね。  実は、さらに続きがあるようです。「正しくも松枝日記」によると「そう、よかったね」と答えた後、「カレンダーに丸印をして/そして電気を消して寝る」のだそうです。だめ押しですね。

 「物語の前提やストーリーにはところどころ腑に落ちないことがあったし、ラストも私には特に響くものがあるわけではなかったのですが、さらりとしながら非常に狡猾でいやらしい精神的SMの世界に、どっぷりはまり込んでめちゃくちゃ楽しませていただきました。あの少し冷めた視線からのどん底のいやらしさは、女性ならではのものじゃないかなぁ。いや、本谷さんならでは、なのかもしれませんね」と言うのは、「しのぶの演劇レビュー」サイト。相変わらず精力的な舞台渉猟ですが、目の付け所がほかのレビューとは違って、かなり食い込んでいるように思います。

序盤の馬渕英里何さんの失禁シーンがめちゃくちゃ私好みでした。会話をさえぎってはいけない、話しかけられたら答えなきゃいけないと思うばかりに、おしゃべりの途中で「トイレに行ってきます」の一言が言えず、そのまま我慢の限界が来て、スウェット女は居間でおしっこをもらしてしまいます。・・・私には「萌えー!」ってヤツでしたよ、マジで!(告白ですね、コレ)。あと、同僚の彼女が高校時代のクラスメートだったことがわかり、彼女に嫌われたくない一心で、同僚に脅されながらセックスをする、しかも天井裏からお兄ちゃんがその情事を覗きやすい場所をわざと選ぶという状況もタマりません(笑)。

 なるほど、なるほど。失禁シーンを取り上げたのは、「しのぶ」さんだけではないでしょうか。

 全体のイメージはどうなのでしょうか。「無駄だらけの毎日。」サイトの「更紗」さんはこうまとめています。

人の心の闇、いや違うな。歪み、それも違う。なんと表現するのが適切なのだろう、汚さとでも言うのか。悪どいとかずる賢い汚さとかでもない、本当の汚さ。汚物に近い感じの。そういう汚さを描くのが本当に巧い(中略)。救いようのなさこそが救いのようで、それなのに観終わった後に「良かったなあ」となるそんな作品。

 「ヤサぐれ者の魔窟vs発掘亭日乗越」サイトの乗越たかおさんは「小劇場的という設定としてはある種オーソドックスともいえる造りなんだが、よくできていて、引き込まれる。『突き放した感』と『いきなり懐に刺し込む感』の緩急が絶妙。相当に削いでいっているのがわかる」と感心しています。


 役者の皆さんも魅力的だったようですが、特にスウェット姿の馬渕英里何さんは印象深かったようです。「主演の馬渕さんのスウェット+メガネ姿がエロ心をくすぐりました。作家は女性ですが、女性にもこういう心が分かるんですかねえ。。。不思議」(きくちブログ
「芝居に熱中すればするほど、観客は繰り返し馬渕英里何のジャージ姿を意識させられることになる」(a piece of cake !
「馬渕英里何さんの灰色スウェットの上下がめちゃくちゃいやらしいです。これをいやらしいと思ってしまっている時点で私の好み(嗜好)ってヘン?男性っぽいでしょうか?」(しのぶの演劇レビュー)
「このスウェット、妙に着古してあってぺらぺらで、スウェットのエロスというものを感じることが出来ます」(正しくも松枝日記

 スウェット姿は本谷有希子の狙いだったようです。馬渕英里何との対談(前半)で、「馬渕さんに出演してもらうって決まった時、まず「スエット!」って思ったのね。ホリプロから呼んどいてスエットしか着てない役っていうのも「いいよねー」と思ったし、他の人が当てないような役を当てようという狙いもあって。他では見れない馬渕さんをうちで見せようと思うから」と語っている。

 とまあ、だらだら書き綴ってきました。みていないと、あれもこれもと気が散りますね。このほか取り上げ損ねたレビューもいくつかあります。追記の形で取り上げます。しばらくのご猶予を。


 劇団サイトは、本谷本人の日記のほか、この公演に出演した役者座談会や、演出助手の女性による演出・制作エピソードが盛り込まれたりして、なかなか興味深い読み物になっていました。


[上演記録]
「劇団、本谷有希子」第9回公演「乱暴と待機
 新宿シアターモリエール(4月8日-17日)

□出演者
馬渕英里何
市川訓睦(拙者ムニエル)
多門 優(THE SHAMPOO HAT)
吉本菜穂子

□スタッフ
作・演出  … 本谷有希子
舞台監督 … 宇野圭一+至福団
舞台美術 … 中根聡子
照明    … 中山 仁(ライトスタッフ)
音響    … 秋山多恵子
演出助手 … 福本朝子
小道具 … 清水克晋(SEEMS)+山本愛
衣装    … 金子千尋
宣伝美術 … 風間のう
宣伝写真 … 引地信彦
WEB担当  … 関谷耕一
制作助手 … 嶋口春香
制作協力 … (有)ヴィレッヂ 
制作    … 寺本真美 中島光司

Posted by KITAJIMA takashi : 02:47 PM | Comments (0) | Trackback

April 25, 2005

劇団上田「上田展[Spring]」

 第18回パルテノン多摩小劇場フェスティバル2005が始まり、参加5劇団のトップを切って劇団上田「上田展[Spring]」公演が4月22日に開かれました。
 「デジログからあなろぐ」サイトの「吉俊」さんはまず、冒頭のシーンに引きつけられたようです。

椅子が7つ並んでいる・・・そこに、黒いタイツと白いワイシャツを着た男達(1人女性)が粛々と現れる。 皆、黒のサングラスを掛けている・・・椅子に座ってそれぞれ思い思いにくつろいでいるが、1人がおならをする。
最初は、おならするなよ~という反応を周りはしているのだが、いつしかそのおならが連続的に繰り返されるようになり、気が付くとそれは音楽になっている。
音楽の名前は忘れたが、有名な曲だ・・・それを各々がおならで表現していく、おならの音に合わせてお尻を上げたり体が飛んだりという典型的な「おなら動作」をする訳であるが、それが上手いこと演出されていて、見ていて心地よい。
馬鹿っぽい事なのだが、ちゃんと練習してリズムが狂わないようにするというのは簡単ではないだろう。

 アイデアは分かった。実際の芝居はどうだろうか-。興味は当然そうなりますね。

初めのパフォーマンスで完璧にお客さんの心を掴みまして、私もこれは期待できるなぁという印象を持ちました。 その後も、物語とは名ばかりにパフォーマンスというかコントというか、その境目をスタスタと7人で渡っていくお芝居。(中略)
正直に言って、一番最初に面白いものを見せすぎたような気がします。(中略)
個性豊かな演者が多くて、いままでに見たこと無い雰囲気・・・それとパワーに溢れていてよかったと思います。

 審査員を一般公募、ほぼ1年かけて東京近辺の劇団公演を見て回り、参加劇団を選ぶ方式をとっているという。そのせいか、選ばれるのは、おもしろいというか、笑える芝居が多くなりがちとの印象が強い。あと4劇団。今年はどうでしょうか。

 今回上演された「上田展」は「変態男爵 暗黒の脇毛編」。5月10日-11日に麻布die pratze で同「変態男爵 漆黒の乳毛編」公演が開かれる予定です。

Posted by KITAJIMA takashi : 11:42 PM | Comments (2) | Trackback
1 |  2  |  3  |  4  |  5  | all pages