11月1日から新サイトに移行しました。URLは下記の通りです。リンクしている場合はURLを差し替えていただくようお願いいたします。

http://www.wonderlands.jp

June 30, 2005

机上風景「複雑な愛の記録」(追記)

 机上風景の第11回公演「複雑な愛の記録」に関して、24日付レビューを掲載しました。その後、「観劇インプレッション」サイトの「#10」さんが公演評を掲載しているのが分かりました。そこで「特殊能力ゆえに普通ではない感性を持っているはずの主人公だが、その行動はとても率直な感情にもとづいており、なぜか共感できる」「彼女の恋は悲劇で終わるが、ラストシーンは不思議と美しい印象を受けた」と書き留めています。

Posted by KITAJIMA takashi : 11:55 PM | Comments (0) | Trackback

June 29, 2005

女体道場「オタンジョウ日警報」

 女体道場第7回公演「オタンジョウ日警報」が高円寺・明石スタジオで開かれました(6月16日-19日)。シリアスなテーマを意外な角度で切り取ってみせる劇団が今回選んだのは「学習障害」でした。

 「休むに似たり。」サイトのはわひらさんは「小さい頃に学習障害と言われた男。成長してもあまり仕事も長続きせず、変態向けグッズショップでバイトの日々。そこに集う人々の姿。一方かつて彼を学習障害と判断した教師は痴漢の疑いで取り調べられて…」とあらすじをまとめています。その上で「この手の話題を取り上げようという勇気と、芝居を観ている最中に、あたしの気持ちの中に起こるさざめきと、重くも、しかし絶望的ではない結末、すっと肩透かしするかのように流す力量、たいしたものだと思う」と評価していました。

 「女子大生カンゲキノススメ」サイトは次のように述べて、舞台のケルンを評価します。

痴漢とか、変態とか、学習障害とか、色々な事柄を扱っているけれど
私がこの芝居から見たのは
「自分の弱さを何かのせいにしないといられない」
そんな何よりも人間らしい人間の姿と
「万人に受け入れて貰える事実には限りがあるという真実」
だった。
それらを見事に描き出している作品であると思う。

 さらに「役者の過剰な演技は気になったものの、そんなものを吹き飛ばしてしまうくらい脚本がよく出来ていた。女体道場という劇団名から観劇を敬遠している人が多いようだが勿体ないと思う。スタンダードな芝居作り、してる」と書き留めています。

 「観劇?飲んだくれ?日記」のnewroadさんは公演を2度みているようです。「人の心のどうしようもない部分をエンターテイメント化して描くのが持ち味」と特長を述べた後「しかし人の心をよくわかってるなあ」と舌を巻いていました。

 【参考】
 中野真希、桶川雅代さん(女体道場)「さわやかに、テンポよい悲劇を 見終わったときが始まり」(2004年8月8日)

[上演記録]記録
女体道場第7回公演「オタンジョウ日警報」
高円寺・明石スタジオ(6月16日-19日)

作・演出: 女体道場

◆役者◆
相沢樽介、がまこ、コシヒカリ、嶋田幸子、めすぶた、内山清人(project サマカトポロジー)浦壁昭一、大門郁子、田中誠、野村直生、服部紘平、パラディ

Posted by KITAJIMA takashi : 09:25 PM | Comments (0) | Trackback

June 27, 2005

劇団鹿殺し「百千万」

 劇団鹿殺し第12回公演「百千万(モモチマ)」(6月23日-28日)を王子小劇場でみました。入り口で眉をそり上げ、アイシャドウを塗ったお兄ちゃんが幟を抱えて客入れしています。いささか気持ちの悪いチラシの絵柄と同じ雰囲気。結局、舞台も似たような印象に終始しました。ゴキブリコンビナートと大人計画を足して2で割って、結果をすこし薄めたような感じのステージです。

 福井県の美浜原発3号機で爆発事故が起き、巨大な頭部を持つ子供「エンゲキ」が生まれます。父が欲しがった越前ガニや行方知れずの母を求めて、彼女が美浜町を目指すロードムービー、ある種の成長物語=ビルドゥングス・ロマンのような展開でした。
 ほぼ時系列順に6話構成。カニ売りとの出会い、父が属したことのある大学の原子力研究所の内幕、核爆発事故の真相などがチープなセット上で進行します。筋はあってなきがごとし、というより最後まで太線で引いてしまったので、かえってウソっぽく感じられてしまいます。

 役者はだれもが薄汚れて見え、粗野な男っぽい雰囲気。男の体臭というか、精液まみれの空気を漂わせています。エイズで亡くなったクイーンのボーカル、フレディー・マーキュリーのビデオ映像を流しながら、マイクを男性器に見立てて振り回すコピー・パフォーマンスは十八番(おはこ)のようでした。振りも堂に入って、さすがにビシッと決まっていたのが、そんなイメージをかき立てました。

 後半は局部を辛うじて隠した男性陣が、ほぼ全裸で踊ったり体をぶつけ合ったりの見せ場が出てきます。そこで宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をとことんコケにしたシーンは特筆モノでした。乙女チックな幻想に泥を浴びせるのですから、宮沢ファンにとっては憤激モノかもしれませんが、ぼくは文句なく笑えました。どこかで被いが外れるのではないかという一部観客の期待は満たされなかったようです。少なくともぼくが見た23日は、微妙なはみ出し!だけでした。

 原発反対のプラカードが出てきたりそれらしいせりふが散りばめられています。初期の大人計画にもそんなシーンがあったと記憶しますが、しかし本筋というより、ストーリー展開の上で織り込まれた背景のひとつに過ぎないような気がします。

 公演がひとまず終了したら、役者たち自身が両袖で「アンコール」「アンコール」と叫び出します。苦笑気味の客席がぱらぱら拍手すると、おそろいの黒いTバック姿で役者たちが登場し、路上ライブで鍛えたと思われるおそろいのダンスシーンを見せていました。劇団のWebサイトによると、セルフアンコールだそうです。男の肌のすべすべやムキムキ、それにモッコリ好きのファンにはたまらないおまけだったのではないでしょうか。

 劇団サイトに、昨年11月の大阪公演アンケートがいくつか掲載されています。
 「あたたかい劇でした」「初めて旅に出たくなりました」「やりたい放題、汗だくでやっている姿にしびれました」「楽しかったです。なんか元気でました」「カッコいいよ!粋だよ!キタねー、変態が!最高だよ!」…。
 筆跡がどれも似たり寄ったりに見えたのがご愛嬌ですが、ファンの関心のありようとともに、こういうアンケートを掲載した劇団の心情が吐露されているとみたほうがいいのかもしれません。(北嶋孝@ノースアイランド舎、6月29日、7月1日補筆)

[上演記録]
劇団鹿殺し第12回公演「百千万」(モモチマ)
東京・王子小劇場(6月23日-28日)

作 :丸尾丸一郎
演出:髭の子チョビン

出演:髭の子チョビン、丸尾丸一郎、山本聡治、JIRO..J.WOLF、渡辺プレラ、オレノグラフィティ、中村達也
サポート:リアルマッスル泉
歌手:青山和弘

スタッフ:
舞台監督 吉田慎一
舞台美術 津郷峰雪
照明デザイン 戒田竜治(満月動物園)
照明操作 海老澤美幸
音響協力 (有)T&Crew
衣装 赤穂美咲
コスチューム製作 坂下智宏
映像 三木康平・高堂勝
写真 溝添真紀
フライヤーデザイン&WEBデザイン 李
製作助手 山田裕美、内藤玲奈、束野奈央、李

企画製作 オフィス鹿


Posted by KITAJIMA takashi : 10:44 PM | Comments (4) | Trackback

June 26, 2005

劇団くねくねし「おみそれテクニク大辞典 ろくろっ首ロードくねくね!」

 芝居が始まると下手のスクリーンに、キューピーが半ズボンを履いたような2頭身のキャラが現れ、例のごとくピョンピョン跳ね回るのですが、危ないと思ったら案の定、地面の裂け目に落下。と同時に、ドーンという音で半ズボン姿の少年が舞台に登場する…。
 下北沢駅前劇場で開かれた劇団くねくねし「おみそれテクニク大辞典 ろくろっ首ロードくねくね!」公演(6月16日-19日)は、映像と現実との巧みな接合、ゲームを芝居に仕立てたというか、おとぎ話をゲーム感覚で作り上げたような冒頭のシーンで、切れ味のよいポップな芝居を予感させました。それから2時間。期待通り奇想天外なアイデアが次々に繰り出されるステージがスピーディーに、しかも手抜きなく目の前に現れ、エーッ、そんなのアリか、と思っているウチに、あれよあれよという間にラストのハッピーエンドまで連れて行かれます。ホントに、おみそれしました。

 「おみそれテクニク」の習得を目指す主人公の少年が、そのノウハウを集めた「大辞典」全100巻の読破、習得を目指す旅、というのがストーリーの大きな流れです。敵を倒してポイントを稼ぐような仕掛ではなく、桃太郎のように家来を集めて幼なじみの女友達と結婚するのがゴールですから、幸せなおとぎ話と言っていいかもしれません。

 ただ、登場人物はほとんどゲーム世界の住人そのまんまです。野球帽の下にお皿を隠した河童のクォー、巨大な野菜を売り歩く喜瓜風太朗、主人公と同じようにテクニックを学ぶおみそれケンジロウは「若」と呼ばれ、3人の部下もそれなりに技を身に着けている-。ゲームというかマンガの中にいるような登場人物が動き回る世界を、全力を傾けて作り上げます。おみそれテクニクの修行物語に加え、姉のなりすまし、父の母捜し、芸比べに負けてころりと相手方に寝返る部下の離反、終着駅まで行くのに20年もかかる地中列車など、副筋を絡ませる作劇上のテクニックもてんこ盛りです。
 「おみそれテクニク」も具体的に言われてみれば、「醤油の染みはゴシゴシこするな、根気よく叩け!」とか「円周率はπに置き換えて計算」とかいう類の「常識」レベル。そのおばかさ加減が笑いを呼ぶほどです。オゲイジュツの臭みはこれっぽっちもありません。
 しかし劇中に使われる映像はクオリティーが高く、お化け屋敷に入る前後でカップルの親密度が違ってくるイラストも秀逸。舞台美術も物語世界にぴったりだし、特にオリジナル楽曲を使った音楽は知らないうちにぼくらをドライブしてくれました。
 荒唐無稽や無邪気な要素が散りばめられたストーリーを、それぞれの分野の才能が寄ってたかって、しかもおもしろがって実現しようとする姿勢に、むしろけなげな潔さがうかがえるような気がします。

 月並みな言い方を借りると、この芝居は大人も子供も楽しめますが、それでも観客を選ぶのではないでしょうか。芝居を見て、なにかをつかみ取ろうとする「飢えた人たち」には場違いな気がします。レストランのメーンディッシュではないのです。夜店でにぎわうお祭りの空間で、裸電球に照らされた綿菓子を思い浮かべればいいのではないでしょうか。デザートの甘い香りと舌触りに似ているかもしれません。必要なのは、ほんのちょっぴりでいい、夢みる力と遊び心なのです。

 それにしても、主役の少年を演じた小田井孝夫はカッコよかった。初々しいというか、好奇心に満ちた百武マナブのキャラクターを、とてもすがすがしく演じていました。謎の列車の案内役だった新倉壮一郎は8頭身。立ち姿というより、長い手足がすてきに目立ちます。羽鳥ユリコは謎のキャラクター。あの頭に乗せた風車は何なんだ、どういう役回りなのか分かりにくいのですが、若い時代を演じた吉川かおりさんはとても印象に残ります。ひそかにファンに…。

くねくねし「おみそれテクニク大辞典」公演チラシ 才能が集まっていると言えば、文庫本のカバーに見立てたチラシも楽しめます。アイデアもいいし、出来栄えも図抜けていて、本物がみすぼらしく見えるほどでした。目立ちますよね。
 もう一つ、劇団のWebサイトも作りはプロはだし。スタッフの力をこれほど集められるのも、くねくねしの魅力だと思います。
(北嶋孝@ノースアイランド舎 6.28補筆)

【参考】
杉林充章(脚本)インタビュー「ウソとホントの境界線を渡る 固有名詞が出ない芝居づくり」(2004年10月3日)


[上演記録]
劇団くねくねし第4回公演「おみそれテクニク大辞典ろくろっ首ロードくねくね!」
 下北沢駅前劇場(6月16日-19日)

作 :杉林充章
演出:小田井孝夫
出演:
小田井孝夫/三土幸敏/新倉壮一郎/真下かおる/斎藤祐介/塩田泰典/吉川かおり/奥村香里/藤本征史郎/やまざきゲジゲジ/持永雄恵
役者松尾マリヲ(ロリータ男爵)/猿飛佐助(ベターポーヅ)/財団法人ノリオChan(エッヘ)

Posted by KITAJIMA takashi : 07:43 PM | Comments (0) | Trackback

June 24, 2005

机上風景「複雑な愛の記録」

 机上風景第11回公演「複雑な愛の記録」が新宿タイニイアリスで開かれました(6月14日-19日)。「リアルな演技、シリアスなエンタテインメント」を標榜している劇団の特質がよく現れた舞台だったようです。

 「休むに似たり。」のかわひらさんは「手紙をただひたすら、電話に向かって読み上げる女、そうなるに至った理由は彼女の自由を奪うが、ふと目にした光景は彼女をとりこに」と舞台の設定を凝縮して表現、「会えない男女の、少し込み入った話は見応えがあります」と感想を書き留めています。
 「デジログからあなろぐ」サイトの吉俊さんも「主人公の女性を取り巻く物語というか、設定というか・・・に大変引き込まれまして、演じられていたおもちゃさんの雰囲気の良さも相俟って大変お気に入りでした」と褒めていました。その上で劇団の特質を「机上風景の舞台は、リアルを装い、シリアスを道具して、それこそを娯楽として提供するものでありました。リアルとは書いてあるけれども、現実をリアルに描き出していくという訳ではなくて、どちらかというと虚構であり作られた世界をリアルな言語で語っていくという舞台」と要約していました。

 机上風景のWebサイトに作者の高木さんが次のように書いています。

最後まで、いちども顔を合わせない男女の恋愛ものをやってみたかった。ひと言で言ってしまえばそれで終わりなのだが、それはべつに既成の恋愛ものに不満があるとか、自身の恵まれない恋愛体験を投影したいとかいうわけではなく(事実恵まれてないが)、なにごとに対しても不器用な人びとを描いてみたいと思ったからにすぎない。

 会場となった新宿タイニイアリスのwebサイトに、座付き作家の高木登さんのインタビューが掲載されています。その中で高木さんが「『ラブストーリー』という看板に偽りなし、『複雑な愛の記録』というタイトルにも偽りなし。悲劇的な結末かハッピーエンドかは見てのお楽しみ、というところでしょうか」と言っていました。これもリアルな表現だと思います。


(追記 2005.6.30)
 「観劇インプレッション」サイトの「#10」さんは、ストーリーの特質を次のようにまとめています。

 特殊能力ゆえに普通ではない感性を持っているはずの主人公だが、その行動はとても率直な感情にもとづいており、なぜか共感できる。そして彼女は恋をしている、あるいは恋をしているつもりになっている。正常ではないけれど素直な姿勢で愛を伝えようとする。  しかし姿を見ることができても心まで読むことはできない。彼女の恋は悲劇で終わるが、ラストシーンは不思議と美しい印象を受けた。


[上演記録]
机上風景「複雑な愛の記録」
新宿タイニイアリス、6月14日-19日

【作】 高木登
【演出・出演】古川大輔
【出演】平山寛人/おもちゃ/浜恵美/川口華那穂/坂口哲

【舞台監督】 伊丸岡慎
【照明】 千田実
【音響】 堀越竜太郎
【宣伝美術】 佐藤友香
【写真撮影】 イナヤマミツハル
【制作】 又木恭一郎

Posted by KITAJIMA takashi : 10:42 PM | Comments (3) | Trackback
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