11月1日から新サイトに移行しました。URLは下記の通りです。リンクしている場合はURLを差し替えていただくようお願いいたします。

http://www.wonderlands.jp

July 30, 2005

「LAST SHOW ラストショウ」(作・演出 長塚圭史)

 東京・渋谷のパルコ劇場が昨年の「ピローマン」に続いて阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史を起用。今回(「LAST SHOW ラストショウ」)は演出だけでなく、風間杜夫、永作博美、古田新太らの俳優陣を迎えて書き下ろす新作舞台を企画・制作しました(7月1日-24日)。長塚は昨年「第4回朝日舞台芸術賞」「第55回芸術選奨文部科学大臣新人賞」をダブル受賞し、いま脂の乗っている時期らしく、期待に違わぬ作品だったようです。

 パルコのWebサイトによると、物語はTVディレクターの石川琢哉(北村有起哉)が名子役として一世を風靡し、いまは夫を支えるタレン美弥子(永作博美)と幸せな新婚生活を送るところから始まります。そこに突然、長らく行方不明だった琢哉の父・勝哉(風間杜夫)が訪れ、予測のつかない行動で少しずつ美弥子に接近していく…。琢哉が取り組むドキュメンタリー番組の主役、動物愛護家の渡部トオル(古田新太)がそこに絡んだりして、愛情と刺激に飢えた大人たちの恐ろしい喜劇が幕を開ける、とのことでした。

 「踊る芝居好きのダメ人間日記」サイトの「あおし」さんは、「敬愛する長塚圭史の新作です。ひと言で例えるなら感情のジェットコースター。いやもう、振れ幅大き過ぎです」とした上で、「ある時は想像を絶するほどの戦慄ホラー作品、ある時はカルト的な猟奇作品、そして愛と感動のファンタジー作品、そんな多彩な表情を持った作品です。(略)恐がって、笑って、そして泣いて、全くもって長塚圭史という才能に感情を弄ばれた気がします」と賛嘆していました。
 「Somethig So Right」のBlankPaperさんも「期待にたがわず、すごかった。衝撃的な内容ではあるが、作中のいくつかの出来事が、いかにも荒唐無稽で、かえってコミカルで現実離れしているため、深刻になりすぎないし、死・消滅というかたちであれ、救いが用意されているため、心に食い込んで消えないが、後味が悪過ぎることもない」「長塚圭史は今絶好調だと感じさせるに足る、非常に印象的な作品」と書き留めています。

 役者もすばらしかったようです。
「古田さんは緩急自由自在で相変わらずの上手さです.社会道徳を平然と超えてしまう狂気を愛嬌をもって演じられる人です.でもって啖呵切ると身震いするほどかっこいい」(「mamiの観劇覚書」)
「永作博美、全ての出来事のきっかけである女性を可愛らしく演じてた.童顔で細くて一見いたいけだけど絶対に負けない芯の強さを感じるので、今回のような巻き込まれ被害者をやっても痛々しくならない」(同上)
「父親役の風間杜夫が予想以上の怪演です。最初は殴ったり刃物で脅したりしつつもなんか優しい部分もあるのですが、途中で取材対象者役の古田新太にそそのかされたあたりからどんどん狂っていき、最後で気がつくまでの流れが素晴らしい」(「某日観劇録」)

 舞台の背景に「放射性廃棄物処理場」か「原発」らしい施設が見えていたそうです。「Somethig So Right」は「この廃棄物処理場の近くという設定が、全体のストーリーに終末的な影を与えるとともに、背景として大きな意味を持っているのではないか」として次のように指摘します。

廃棄物処理場の放射能が、そもそもこれらの人物、特に動物愛護家のアブノーマルな習性を生み出したとも考えられないか。やはり最終部に近く、爆発音が起こり、廃棄物処理場の事故が暗示される。放射能が漏れ、この登場人物たちは(すでに死を選んだ者もいるが)遅かれ早かれ死に絶えるのであり、犯罪者や事件の関係者として重い生涯を生きていく者はいないのだ。その意味で作者は全てを消滅させる設定を与えており、自分にはそれがなんとも優しく思えた。様々な意味で用意周到である。

 「某日観劇録」も同じ背景を目にとめながら、また別の解釈を複数予測しています。

今回の芝居ですぐそばに建てられている原発の問題が借景というか、扱われています。最後の場面で何が起こったのか確認しようとしてテレビをつけ、だけどそれをすぐに消してしまう。これを私は、北村有起哉の設定とあわせて、遠くの他人事より自分の身近のほうが大変だから、まずはそっちに集中しろよ、という意図に解釈しました。だけど、すぐそばで大きな問題が起こっているのにそこに目を向けない、という意図にも取れますし、向ける余裕のない人が今はたくさんいる、という意図にもとれます。演出家の意見を聞きたいところです。

 この「借景」の見方が分かれても、作品や俳優たちの演技を評価する点では足並みがそろっています。長塚人気が高い理由が想像できますね。


[上演記録]
LAST SHOW -ラストショウ-
作・演出 長塚圭史
出演 風間杜夫、永作博美、北村有起哉、中山祐一朗、市川しんぺー、古田新太

東京公演
PARCO劇場(7月1日-24日)
大阪公演
梅田芸術劇場 シアタードラマシティ(7月28日-31日)

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July 29, 2005

「キレイ-神様と待ち合わせした女」(作・演出:松尾スズキ)

 Bunkamuraシアターコクーン公演「キレイ-神様と待ち合わせした女」(作・演出:松尾スズキ、東京公演7月6日-30日、大阪公演8月7日-12日)はなかなかの評判です。2000年6月、松尾スズキがシアターコクーンに初進出し本格的ミュージカルに挑戦した「キレイ」の5年ぶりの再演です。

 「しのぶの演劇レビュー」サイトは、会場で販売されているパンフレットを引用する形で、次のようなあらすじを紹介しています。

三つの国に分かれ、100年もの間、民族紛争が続く“もう一つの日本”。民族解放軍を名乗るグループに誘拐され、監禁されていた少女(鈴木蘭々)が、10年ぶりに地上へ逃げ出す。過去を忘れた少女は自らケガレと名乗り、戦場でたくましう生きるカネコ一家に加わる。カネコ一家はダイズでできているダイズ兵の死体回収業で生計を立てていた。回収されたダイズ兵は、食用として加工される。その頂点に立つダイダイ食品の社長令嬢(秋山菜津子)と奇妙な友情で結ばれていくケガレ。戦場をうろつき、死体を拾って小銭を稼ぐ、そんな健気なケガレを見守るのは、成人したケガレ=ミサ(高岡早紀)だった。時空を超えて交感するケガレとミサ。しかし、二人は、もう一つの視線におびえ始める。それは一体、何者なのか。過去、現在、未来の時間が交錯する中、ケガレは、忘れたはずの忌まわしい過去と対決してゆくことになる。

 主役のケガレ役に予定された酒井若菜が体調不良で降板し、代わって鈴木蘭々が出演。ミサ(成人したケガレ)には今夏公開される松尾監督の短編映画「夜の舌先」主演の高岡早紀。スズメバチに脳を刺されバカになったハリコナには、昨年「透明人間の蒸気」(野田秀樹作・演出)で主演した阿部サダヲ。成人したハリコナには松尾作品初登場の岡本健一。ほかにも劇団☆新感線の橋本じゅん、「悪霊」以来の松尾作品となる大浦龍宇一、初演から引き続き松尾が全幅の信頼を置く秋山菜津子、片桐はいり。脚本家だけでなく今年は監督デビューも果たした宮藤官九郎ら大人計画メンバーも多数出演しているようです。

 劇団アロッタファジャイナ主宰のマツガエさんが綴る「正しくも松枝日記」は初演もみているようですが、この再演にさらに強い感銘を受けているようです。

すばらしー舞台でした。
つーか濃すぎ。
つーか詰めすぎ。
歌、踊り、そして地のストーリー部分・・・
5年前よりエンターテイメントアップしている役者たちの演技・・・
かなりのテンコ盛りで、ものすごい集中力発揮で見た僕ははっきり言って、昨日、家帰って死にました。
とくに後半、夢と現実が交差するというか朦朧とする部分は僕もマジ朦朧として・・。 (略)
初演見ているくせにこんなに深い話だっけみたいな
別の話、見ているみたいな、そんな気になりました。

 「Somethig So Right」の BlankPaper さんも「長くて最後まで集中して見続けるとかなり疲れるが、自分としては大満足の舞台であった」「エンターテイメントでありながら、心の深層をえぐっていくような松尾ワールドの集大成的大作である」と述べています。

 初演と比べてやや違った見方をする人もいるようです。「某日観劇録」の六角形さんは「『キレイ』初演が松尾スズキ作品初見でした。面白さは今でも印象に残っていたので期待度が高すぎたこともあると思います。十分楽しかったのですが、大満足までは到りませんでした。初演の印象が強すぎて」と書き留めています。

 ほかに「Review-lution! on-line」の横田宇雄さん、「mamiの観劇覚書」のfurupandaさん、「エンタメに生きる。」サイト、「小春日和」サイトのshimadora さんらがレビューを掲載し、俳優の演技などにふれています。

 シアターコクーンのWebサイトには、作・演出の松尾スズキの短いインタビューと舞台の抜粋(4分20秒余り)が動画で載っています。関心のある方はご覧ください。


[上演記録]
Bunkamuraシアターコクーン公演「キレイ-神様と待ち合わせした女
上演時間: 1幕: 1時間35分 休憩: 15分 2幕: 1時間40分
合計: 3時間30分 強
会場: Bunkamuraシアターコクーン
公演日程:2005年7月6日-30日

Cast
ケガレ 鈴木蘭々
ミサ 高岡早紀
ハリコナA 阿部サダヲ
カネコキネコ 片桐はいり
ダイズ丸 橋本じゅん
マジシャン 宮藤官九郎
ジュッテン 大浦龍宇一
カネコジョージ 松尾スズキ
ダイダイカスミ 秋山菜津子
ハリコナB 岡本健一
ほか

Staff
作・演出 松尾スズキ
音楽 伊藤ヨタロウ
美術 高野華生瑠
照明 大島祐夫
衣裳 戸田京子
音響 山岸和郎
映像 上田大樹
振付 康本雅子
ヘアメイク 大和田一美
演出助手 大堀光威
舞台監督 青木義博

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July 28, 2005

グリング「カリフォルニア」


 このところ「グリング」の評価が高まってきました。公演ごとに注目度を増し、今回の第11回公演「カリフォルニア」(7月12日-18日、新宿THEATER/TOPS)も期待を裏切らない出来栄えだったようです。

 「某日観劇録」の「六角形」さんは、状況設定を次のようにまとめています。

マンションの一室で整体院を営む夫と、マンガの同人を趣味とする妻。昔のとある事件がもとで、妻はあまり具合がよくない。マンションの住人の利用もあってそれなりに繁盛している整体院に、妻の同人の友人が、足を怪我した兄を連れてくるところから話は始まる。
 「デジログからあなろぐ」サイトの吉俊さんは「順当な会話劇、2時間という上演時間があっというまに過ぎた公演は久しぶりである。役者や脚本、まさに良質」と褒め、「しのぶの演劇レビュー」も「チラシを見たとしてもお芝居の詳しい内容はよくわからない状態で観劇することになります。いい意味で裏切られました。「えええええっっ!」とびっくりして息を呑み、そして、甘くて苦い恋の秘め事をドキドキしながら覗き見させていただきました」とある意味で芝居の醍醐味を楽しんだようです。

 「休むに似たり。」サイトのかわひらさんも「基本は二人か三人の会話。それぞれの会話からの断片、伝播していく断片、やがて事実や事実でないことの確信を紡ぎだしてしまう緊張感」「女二人、昔のこと今の想いの緊張は心拍が上がっていく実感。これが芝居の芯なのだと思いますが、女三人の居心地の悪い会話も巧いなあ」と舌を巻いていました。

 グリングの芝居は大人向き。以前第7回公演「ヒトガタ」をみて、「直木賞向き」と書いたことがあります。一筋縄でいかない暮らしのひだをわきまえつつ、それでも動いてしまう切ない性(さが)を描く台本、それを定着する練達の俳優陣。その基本形は変わっていないようです。

[上演記録]
 グリングのWebサイトにもTHEATER/TOPSの公演ページにも、7月28日現在、上演記録が見あたりません。閲覧可能になったら、掲載します。

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July 27, 2005

ケイタケイ'Sムービングアース「ライトpart4“ジグソーパズル”」「ランチ」

 東京のdie pratze を舞台にした「ダンスが見たい!7」は今年「批評家推薦シリーズ」を始めました。多くのフェスティバルではなぜその団体が参加したのか不明な場合が少なくないけれど、この方式は選出の理由やダンスの特長が、推薦者によって明らかになるがありがたい。ケイタケイを推薦した舞踊評論家の山野博大さんは「オックスフォードの舞踊事典には、伊藤道郎、森下洋子、土方巽、天児牛大、吉田都と並んでケイタケイの名前が載っている。日本人舞踊家の名前が外国の舞踊事典に載ることはほとんどないのだから、彼女に対する海外での評価が高いことが、これでわかると思う。(略)1967年にニューヨークに渡り、苦労の末にムービングアースを主宰するまでになった。彼女の『ライト』シリーズの評価は高い」と書いています。

 公演はライトシリーズの1作と近作の2本立て。最初のライトシリーズは 「part4 ジグソーパズル」。ケイタケイがポリウレタン製と思われる白板の破片を文字通り、床に敷き詰めていく。数人のダンサーは次第に踊るスペースが狭くなり、あちこち揺れ動くように追い込まれ、最後にステージから出されてしまいます。始まるとすぐに、結末は見えていますが、パズルの並べ方とダンサーの揺れ具合の微妙な関係が、踊りの稜線を描くことになります。自明な結末はさておき、その「微妙」のプロセスに付き合うことができるかどうかによって、集中が持続するか弛緩するかの分かれ道になりそうな気がします。
 「白鳥のめがね」サイトのyanoz さんは、「白い切片を床にしきつめていくプロセスが作品の軸になっている」とした上で、次のように指摘しています。

ダンスは、読み取られるべき形をプロセスに与えるための媒体となっているかのようだ。どのように解釈するかは別にしても、何かの寓意がいかようにも読み取れるようなドラマの原型をなすようなものが、作品の構造に織り込まれているのだとおもう。だが、プロセスそのものが身体の状態を変えるということはない。作品としての展開と身体運動は、どこまでも並行関係を保ち続けるかのようだ。 そこにケイタケイの作品の限界があるとも言えるのかもしれないけれど、それはそれで、舞台作品としてゆるぎなく構成されているとも言える。

 後半の「ランチ」は、夫(あるいは父親)らしき男性と妻と娘らしい女性2人、それに猫の仕草を軽やかに演じるウエイターが登場。レストランのテーブルを囲んでステージが始まります。宝飾類を皿に載せ、ナイフやフォークで突き回す男、テーブルをナイフとフォークで切ろうとしたり、皿ごとテーブルにこすりつける女たち。ぎこちないが故にユーモラス。そんな動作に思わず頬が緩みかけると、男が女たちに向かって、ブラジャーの紐がはみ出しているなどと文句を言います。一瞬氷付く空気。やがて床にまき散らされた貝殻を拾い、奴さんのようなスタイルで女たちが踊ります。男はときにいすを持ち運びながら踊りに巻き込まれ、軽やかな時間を共有したようにみえます。やがて再びテーブルを囲んだとき、食卓には和やかな時間が流れます-。

 こちらも、作品の出口が明確だとの印象を与えます。しっかり構成され、コンセプトは明晰。身体の動線も突発的衝動的なところはみられず、あらかじめ描かれた了解ポイントを静かに美しくたどっていくように思えます。
 ケイタケイは1967年ニューヨークに渡りジュリアード音楽院舞踊科に留学。学生時代よりケイタケイ'Sムービングアースを学生仲間と結成、アメリカ、ヨーロッパでの公演活動が高い評価を得ていたそうです(Muse company サイト)。60年代アメリカのモダンダンス活動の中から生まれた、きわめて独創的なダンスであることは間違いないでしょう。古典的なたたずまいを感じたのはそのせいかもしれません。

[上演記録]
■ ケイタケイ'Sムービングアース
「ライトpart4“ジクゾーパズル”」「ランチ」
麻布die pratze(7月21日-22日

作構成=ケイタケイ
出演=石田知生 岩崎倫夫 木室陽一 大塚麻紀 西巻直人 ケイタケイ 岩崎倫夫 石田知生 大塚麻紀 西巻直人

照明/清水義幸
音響/越川徹郎
舞台監督/河内連太
衣装/ケイタケイ
協力/早田洋子 原口理

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July 26, 2005

ひょっとこ乱舞「旅がはてしない」

 演劇集団「ひょっとこ乱舞」の第12回公演「旅がはてしない」(作・演出 広田淳一)が東京・王子小劇場で開かれました。広田さんは今年2月に開かれた日本演出者協会主催「若手演出家コンクール2004」で最優秀賞を受賞した期待の若手演出家です。

 「タマヤマ」さんが「ひょっとこ乱舞」のWebサイトに書き込んで、「わたしがひょっとこを書いてる広田という作家が好きなのはウソツキだからです。いまどきこんなステキなウソついてくれる作家少なくて」(07/21-03:43)と最上級の褒め言葉を並べています。続いて次のようにその理由を挙げます。

その突拍子もないウソにつきあう気にさせてくれるのは、  ・パワーバランスの変化  ・新しい事件 に関するセリフが間断なく出てくるってこと。そして役者、演出がそれをこなせているからだと思います。
と述べています。本人が名乗っているように、本当に「劇場の職員」のタマヤマさんなら、ほとんど毎夜、小劇場を回ってひたすら芝居を見ている目利きですので、有力な意見かもしれません。

 小劇場通いなら負けず劣らずの「デジログからあなろぐ」サイトの吉俊さんの評価はかなり厳しいものがあります。

大勢の役者で行われる乱舞も大変綺麗で、この人たちは役者なのか?パフォーマーなのか?と疑いたくなる程の完成度」としながらも、「分裂したエピソードを寄せ集め的に組み合わせて、生とか死のメタファーを小さな要素に還元してしまう。希望だの記憶だの・・・哲学的な問題を身近な人間の関係性とか手近な道とか音楽とかいった要素だけからこじつけのように説明してしまう・・・実質としては解決になっていなくても、手近な答えに納得してしまって満足できる。まさに、ポストモダン的な物語・・・表層を撫でる言葉の羅列・・・今回はまだその羅列から立ち上がってくる情景が見えず。脚本が面白ければ・・・と悔やまれる舞台。

と述べています。

 「えんげきのページ」の「1行レビュー」では「本がよく出来ている。設定と台詞まわしに引き込まれる。 (camel) 」と4星を進呈している人もいるので、みかたはさまざまなのかもしれません。次回は私もみてみたいと思います。

[上演記録]
ひょっとこ乱舞第12回公演「旅がはてしない」
作・演出 広田淳一
2005年7月14日[木]~19日[火]
王子小劇場 >>劇場アクセス

【出演】
伊東沙保 笠木真人 金子優子 加茂みかん 草野たかこ 齋藤陽介
酒井彩子 高橋恵 瀧澤崇 チョウソンハ 中村早香 橋本仁 林隆紀 堀内隼人
広田淳一

【スタッフ】
舞台監督・舞台美術…竹内五十六 
舞台…高岸れおな
宣伝美術・ web …内藤真代
音響…角張正雄( SoundCube )
照明…三浦あさ子(賽【 sai 】)
衣装…林莉江 
   …鴨川亜美
ヘアメイク…入江佐伊子
制作…ツカネアヤ 日下田岳史 清水建志 写楽 
協力…大倉英揮
提携…王子小劇場

(財)東京都

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July 25, 2005

三条会・関美能留「演劇にはまだやれることがいっぱいある」

 特別企画インタビューランド」第2回は、千葉を本拠に活動する三条会の主宰者であり、全作品の演出を手掛ける関美能留さんです(「演劇にはまだやれることがいっぱいある」)。2001年の利賀演出家コンクールで最優秀賞に輝いて脚光を浴びてから、関さんが作り出す舞台は内外で高い評価を得てきました。昨年(2004年)BeSeTo演劇祭のフィナーレを飾った「ひかりごけ」公演は圧倒的な熱気と拍手に包まれ、今年の「 Shizuoka 春の芸術祭 2005 」で上演されたギリシャ悲劇 「メディア」 も斬新な演出で話題となりました。このロングインタビューでは、近現代や古典作品を取り上げ、俳優の身体を通して「いま」との「遠近と共鳴」を舞台化する、注目の「演出」に迫ります。聞き手は、三条会の舞台にいち早く注目、評価してきた松本和也さんです。 2時間余りの遣り取りを全10ページにわたって掲載しました。ぜひご一読ください。>>

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July 24, 2005

燐光群「上演されなかった『三人姉妹』」

 燐光群公演「上演されなかった『三人姉妹』」(作・演出 坂手洋二)の東京公演(7月6日-17日)と関西公演(7月21日-22日)が終わりました。チェホフの「三人姉妹」と、血なまぐさい終結を迎えたモスクワ劇場占拠事件を掛け合わせたような、坂手+燐光群ならではの独特の舞台だったと言われています。大阪芸術大大学院博士課程(文芸学)在学中の高木龍尋さんから、関西公演のレビューをいただきました。結語の切れ味をご賞味ください。以下全文です。

◎トゥーゼンバフはなぜ死んだか?

 チェーホフの『三人姉妹』は言わずと知れた名作である。その名作を燐光群がどうするのか? 上演されなかった、とはどういうことなのか? いささかの戸惑いを覚えながら劇場の席についた。

ひとつは劇場を占拠する武装集団である。配布されたリーフレットによれば、坂手洋二氏はこの作品の着想を、政情、治安の不安定なコロンビアで得たという。架空の国でのつもりで、という構想はロシアで起きた悲劇的な事件に行き着き、それが『三人姉妹』に入りこんだ。『上演されなかった『三人姉妹』』は、『三人姉妹』の中に劇場を占拠する部隊が乱入し、チェーホフに現実(?)が乱入するかたちで組み立てられている。

 その劇場では『三人姉妹』の二十年ぶり再演が始まろうとしていた。新しい演出で、三人の女優以外は他に舞台に登場しない。劇場のスタッフは二十年前の公演で何らかの役を務めた元役者や、公演寸前で切られてしまった役者たち。客にも元役者がいる。その上演が始まって間もなく、武装集団が突入してくる。銃を突きつけられても、普段からオーリガ、マーシャ、イリーナと呼び合うことを決められた三人の女優たちは芝居を止めようとしない。スタッフたちは状況をやり過ごすために次々舞台へ上がり『三人姉妹』をつづける。『三人姉妹』は人質たちはおろか、武装集団をも巻き込んで進む。

 その展開の大枠はチェーホフの原典とほとんど変わりがないと言っていい。設定は劇場の空間や人間関係に合わせて変えられている部分もあるが、『三人姉妹』から引用した台詞も多く、登場人物の行為もそこにすり合わされる。舞台は人物たちの意図とは別に、『三人姉妹』として動いてゆくのだ。どこまでが『三人姉妹』なのか、どこまでが劇場占拠事件なのか、わからない中で劇場に妙な一体感が生まれたとき、大統領の作戦は実行され、武装集団は人質もろとも壊滅し、あとには生とも死ともわからない人々、そして『三人姉妹』が終わる。

 と、観終わってひとつ疑問に思ったのは、なぜ結末を誰ひとり生死のわからない状
態(おそらくはそのほとんどが死)にしたのかということである。

 ロシアの劇場占拠事件が死屍累々に終わったのはニュースの伝えた事実であった。しかし作品をそこで終わらせなければならないわけではない。それに『三人姉妹』で唯一死んだのはソリョーヌイに撃ち殺されたトゥーゼンバフだけで、しかもその死体が舞台に晒されることはない。『上演されなかった『三人姉妹』』でもトゥーゼンバフ役を担ったアメリカ人の演出助手トーマスは正体不明の人質ソリョーヌイに撃ち殺される。けれども、それはトゥーゼンバフとしてではなく、トーマスとしてである。このあたりに、作品の核心を見つける糸口があるかも知れない。

 その鍵となるのは、トゥーゼンバフはなぜ死んだか(チェーホフはなぜトゥーゼンバフを殺したのか)、のような気がする。私はチェーホフの研究者ではないし、おそらく数多の論考が著されているだろうから、これが解答です、と披露するような勇気はないが、少なくともトゥーゼンバフは信じていた男なのではないか。働くということ、イリーナの愛がないことは知っていても未来の生活を信じていた。そして、死ぬとわかっていても希望を持っていた。それと同じだったのは武装集団の若者たちである。故国の解放を信じ、家族の幸福な未来を願い、大統領の策略を信じてしまった。その結果は死である。

 『三人姉妹』の登場人物は「人間でなくなった」ナターシャを除いて、みな絶望と諦めの上に自分自身の生を是認することで立っている。それはどれだけ悲しくとも虚しくとも、生命のあるかぎりつづけなければならない是認である。この作品が示そうとしたのは、何ものかを強く信じ希望するものから死んでゆく現代なのかも知れない。

 ここまで述べてきて、ふと、私が『三人姉妹』を全く知らなかったら、という問いに襲われた。『三人姉妹』がどんな話かを知らなかったら、『三人姉妹』の台詞を一言も知らなかったら、と考える。私はチェーホフの『三人姉妹』からこの作品を理解しようとしたが、その手立てを持たなかった人はどう思っただろう。そう考えると合点のゆかない箇所も多かったのではないだろうか。ただ、それでも、何かを信じ希望を持つことで降りかかる悲劇をみつけることはできるのではないか。それ以外に、それ以上に、この作品が語っていることを聞くのは難しい。この作品が伝えようとしていたことは、その実、チェーホフ『三人姉妹』そのものに既に仕組まれている。
(高木龍尋 尼崎市・ピッコロシアター大ホール、7月21日)


[上演記録]
燐光群公演「上演されなかった『三人姉妹』
作・演出 坂手洋二

東京 紀伊國屋ホール公演(7月6日-17日)
関西 ピッコロシアター大ホール公演(7月21日-22日)

<CAST>
女1・オーリガ(アンフィーサ)…… 中山マリ
女2・マーシャ ………………… 立石凉子
女3・イリーナ ………………… 神野三鈴

人質1・クルイギン …………… 鴨川てんし
人質2・アンドレイ …………… 猪熊恒和
人質3 …………………………… 久保島隆
人質4・ヴェルシーニン ……… 大西孝洋
人質5 …………………………… 杉山英之
人質6・ナスターシャ ………… 江口敦子
人質7・ソリョーヌイ ………… 下総源太朗
人質8・トーマス ……………… JOHN OGLEVEE
人質9・チェブトゥイキン …… 川中健次郎
人質10 ………………………… 宇賀神範子

占拠者1 ………………………… 裴優宇
占拠者2 ………………………… 向井孝成
占拠者たち ……………………… 樋尾麻衣子 宇賀神範子 内海常葉
                 工藤清美 阿諏訪麻子 安仁屋美峰
                市川実令 尾形聡子 坂田恵
                椙本貴子 塚田弥与以 中川稔朗
                樋口史 樋口美恵 松山美雪
若い女 …………………………… 宇賀神範子
若い男 …………………………… 小金井篤
中年男 …………………………… 内海常葉
アナウンサー …………………… 樋尾麻衣子

<STAFF>
照明=竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響=島猛(ステージオフィス)
音響操作=岩野直人
舞台監督=森下紀彦・高橋淳一
美術=じょん万次郎
衣裳=宮本宣子
殺陣指導=佐藤正行
演出助手=吉田智久・清水弥生・福田望
文芸助手=久保志乃ぶ・圓岡めぐみ
舞台写真=大原狩行
宣伝写真=竹中圭樹
チラシ写真=酒井文彦
宣伝意匠=高崎勝也
Company Staff =桐畑理佳・塚田菜津子・亀田ヨウコ
制作=古元道広・近藤順子
制作助手=宮島千栄・藤木亜耶・小池陽子
協力=円企画 高津映画装飾株式会社 C-COM
   東京衣裳株式会社 青年劇場
   常田景子 香取智子 山本哲也
   河本三咲 小林優 園田佳奈
   高本愛子 寺島友理子 増永紋美
   宮島久美 召田実子 八代名菜子 

平成17年度文化庁芸術団体重点支援事業

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July 22, 2005

時間堂「月輝きながら太陽の照る」

 数多くの芝居を見続けていると、出だしの10分か15分くらいで結末の予測が付く場合があります。逆に最後の最後まで作者に翻弄されるときも。青年団リンク・高山植物園の高山さなえさんの台本は今回、逆転に次ぐ逆転といった、スリラー映画顔負けのストーリーだったようです。時間堂12回公演とカフェ「月輝きながら太陽の照る」(作・高山さなえ、演出・黒澤世莉)7月7日-17日、渋谷 LE DECO1 で。

 披露宴が終わった結婚式場の控え室。これから着替えて二次会に顔を出す手はずなのに、新婦がドレスを脱がないと言って、いっこうに腰を上げません。足止めを食らう関係者。やがて…。「しのぶの演劇レビュー」は以下、次のように記しています。

上演時間は1時間強でしたが、最初の45分はつらかったです。(略)そして45分経った頃に衝撃の事実が明かされます。目が点になりました。そこから15分強は、それまでに描かれていた世界がバタバタと裏に表にひっくり返り続ける、きりもみ状態に陥った飛行機のような展開。・・・恐ろしい脚本でした。  男と女という全く違う生き物の係わり合い(歴史)、そしてこれからも延々と続く“生存”をめぐる戦いを描いていました。

 「休むに似たり。」サイトのかわひ_さんは「高山さなえという作家の話は、汚いわけではないのだけど、どこか気持ち悪さを持ってる」と言っているのですが、このあとの筋書きが分からないとちょっと理解に苦しむかもしれませんね。詳細は「しのぶの演劇レビュー」の末尾に書かれています。

 高山さんは海外留学でしばらく活動休止と聞きましたが(「Nのおしごと」)、7月8日のアフタートークに出演したそうです(「五十川藍子の道楽日記」)。これから出かけるのでしょうか。


[上演記録]
時間堂12回公演とカフェ「月輝きながら太陽の照る
http://www.seriseri.com/jikando/
7月7日-17日、渋谷 LE DECO1

作・高山さなえ、演出・黒澤世莉
●出演
稲村裕子 川根有子  キムラマナコ 福島千陽  両角葉
久米靖馬(クロカミショウネン18/UNITレンカノ) 小林タクシー(ZOKKY) 根津茂尚

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July 17, 2005

劇団あおきりみかん「ホップ・ストップ・バスストップ」(東京公演)

 名古屋を本拠とする劇団あおきりみかん「ホップ・ストップ・バスストップ」の東京公演が新宿のシアターモリエールで開かれました(7月9日-10日)。名古屋公演の模様は先に紹介しましたが、東京公演も内容はほぼ同じだったようです。開幕するといきなり、バス待ちの長い列が舞台いっぱいに延びています。その列に並んだ人たちがバス停ごと、男女2人に乗っ取られます。いわゆる「バス停ジャック」の始まりです。

 「デジログからあなろぐ」サイトの吉俊さんは「基本的にテンション芝居・・・私、芝居してますよ!っていう空気が体や台詞からブワ~って放たれてくるのでは、私は冷めてしまったりしてしまうのですが、客席の笑いの大きいこと大きいこと・・・お客さんが笑いたくなるのも十分理解できる・・・だって面白いから」と要約しています。また「「敏腕Pの日々のつぶやき」サイトのtakahashi_pさんは「台本には多くの破綻があるものの、それすら魅力に感じるほどの“役者熱”が魅力で」「とにかくやってる面々が楽しそうだし、弁護士役(竹之内豊似?)やパー人役など、個々の力量が高かったので安定感がありました」と評価しています。

 よく動く身体と過剰な身振りや発声、あり得ない状況設定と意表を突く行動があいまって、舞台に笑いをまき散らします。これぞ小劇場のエンターテインメント、こってりしたシチュエーションコメディーという舞台に見えました。
 終演後、ほぼ満員のお客さんがなかな席を離れません。一斉に感想文を書き込んでいるのです。劇団の熱意が客席に通じた瞬間だったのではないでしょうか。
(北嶋孝@ノースアイランド舎)

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July 14, 2005

劇団桃唄309「ブラジャー」

 劇団桃唄309「ブラジャー」公演が、オープンしたばかりの東京・吉祥寺シアターで開かれました(7月7日-11日)。桃唄はこのところ「多数のシーンを暗転などを全く用いずに間断なくつなげることで、人物像や人間関係、社会状況や歴史的背景などを俯瞰してみせる手法が中心」(劇団Webサイト)の舞台を提供してきたようです。この手法は今回も踏襲され、取り上げた題材はタイトル通り「ブラジャー」です。

 舞台上にセットらしきものはほぼ皆無。正面奥に、役者を乗せて移動する2メータ四方のキャスターがあるだけです。ステージは照明で正方形に縁取りされ、内側で役者が演じ、薄暗い外側は衣装や小道具の準備をしたり座って待機したりというオフ空間として処理されます。「デジログからあなろぐ」サイトの吉俊さんはこの辺りを「舞台というリングに出たり入ったり・・・表現空間へと入り込むその瞬間の役者の変貌が面白かったりします。なんか・・・芝居というよりは、祭事のように見えなくも無い」と書き留めています。ブラジャーの歴史をさまざまなエピソードを交え、登場人物がさまざまに出入りする群像(+ミシン)劇として構成します。終演後には「祭事」ということばが不思議に記憶に残ります。

 作・演出の長谷基弘さんによると、ブラジャーは近代ヨーロッパで「再発明」され、身体を締め付けるコルセットを瞬く間に駆逐。この芝居は当時誕生した中産階級、女性労働、そしてミシンや化学繊維、ファッション意識の転換など社会の変遷をからめ、そいうブラジャー史をエンターテイメントとして描こうとしているそうです。
 スッピンのステージで、ミシンとボビン(糸巻き)の誕生、活躍から、やがて廃用品として忘れられ、その後手作りブラジャー製作用にさび付いた個所を整備し直して再登場。最後に寿命が尽きてこと切れるまでが狂言回しというより、物語の縦糸として織り込まれています。ですから、ミシンとボビンの幸せな(としか言いようのない)一生を葬送=言祝ぐ時間と空間とみなせばなるほど、「祭事」にふさわしい舞台なのかもしれません。

 冒頭、舞台上手奥から、ブラジャーの幟を立てた一行十数人がマント姿でトランクなどを携え、一列になって登場します。アンゲロプロス監督の映画「旅芸人の記録」の冒頭シーンかと一瞬戸惑いましたが、映画のような現代史の濃い影が差しているようにはみえません。一行はぐるりとステージを回り、やがてばらけて、照明外のオフ空間に散らばります。
 そこから1時間40分余り、ミシンの豆知識から大勢の人物の出し入れ、開発、製造、販売のエピソードや過去と現在の組み合わせなど、めまぐるしいほど場面は切り替わります。しかし混乱することはなく、むしろ整然といっていいほど鮮やかで確かな手並み。歌も交えて「ブラジャー史をエンターテイメントとして描こう」という熟達した技を見せてもらった気分です。

 劇団Webサイトには書き込み可能な 「ブラジャー」専用サイト [BraWiki] を開設。公演ページで大人も子供の楽しめる芝居だと告知しています。

お子様とご一緒にどうぞ!
この劇には過度の暴力表現や猥褻表現はありません。お子様連れのお客様も安心してご覧頂けます。

 今回の舞台作りに携わった劇団関係者の考えがストレートに表現されているような気がします。「新鮮で、豊かで、後で思い返すことで何度でも楽しめる体験」を観客に味わってもらおうという劇団の姿勢の表れなのでしょう。終演後の「バックステージ・ツァー」も大変ありがたい企画でした。


[上演記録]
劇団桃唄309ブラジャー
2005年7月7日(木)~11日(月)
吉祥寺シアター

戯曲・演出:長谷基弘
出演:
楠木朝子
森宮なつめ
山口柚香
藤本昌子
橋本健
吉原清司
バビィ
吉田晩秋
佐藤達
貝塚建
ほりすみこ (Website)
生井歩 (劇団レトロノート)
鈴木ゆきを
坂本和彦
北村耕治

スタッフ:
演出助手/小林佐千絵 (劇団レトロノート)
舞台監督/井上義幸(F.F企画)
照明/伊藤馨
照明協力/有限会社アイズ
音響/萩田勝巳
宣伝美術/岡崎伊都子
制作/ウィンドミルオフィス SUI
協力/株式会社ワコール にしすがも創造舎

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July 11, 2005

井手茂太「井手孤独【idesolo】」

 1ヵ月以上も前の公演を取り上げるのは気が引けるのですが、ダンスカンパニー「イデビアン・クルー」を率いる井手茂太によるソロ公演「井手孤独【idesolo】」が世田谷のシアタートラムで行われました。しっかり書かれたレビューを複数、読むことができましたので、そのさわりを遅まきながら紹介したいと思います。

 井手のソロ公演は久しぶりだったようです。「デュカスの日記」サイトの志賀信夫さんは、この辺りの事情を次のように記しています。

井手茂大はイデビアン・クルーを率いる振付家、ダンサーであり、近年「ダンダンブエノ」や松本修のカフカ、白井晃の『ルル』などの芝居でも振付を依頼され活躍している。井手は優れたダンサーなのだが、このところイデビアン・クルーでも踊っていない。数年前の『イケタライク』や林浩平の企画した武蔵大学の詩人とのコラボレーションなど、しっかり踊った姿は近年は数えるほどだった。それがシアタートラムの独舞シリーズという依頼でついに実現したことは、ダンスファンにとっては重要なことだった。

 実際の舞台は「観客席の下半分を切って、平舞台の三方を取り巻くように座布団席と折りたたみ椅子による下の客席を作った。そこでは観客は靴を脱ぐ。舞台にはゴザに近いシートが敷かれ、そこに赤いシートで四角く花道のようなものが作ってある。舞台奥は通常のままで下手にピアノが一台」(「デュカスの日記」)という配置。「nemlog」サイトのkushanさんは「舞台は柔道場の緑の畳を地とし、試合場を示す赤い畳による正方形の枠線を大きく施す、というデザイン(畳はむろんイミテーション)」としています。

 kushanさんは続けて、井手の踊りを次のように書いています。

井出は終始サラリーマン然としたスーツ姿で踊り、演じ、熱唱するのだが、公演の中盤には歌舞伎の女形のカツラを被ったり、ちょうどOLがプラダのバッグを携えるように炊飯器を片手にもち、ファンションモデルのように直線的な歩行を繰り返したりもする。そうすることにより、スーツにネクタイという現代社会版「紋付き袴」「ちょんまげ」のもつ可笑しさを巧く対象化してみせている。
 見る/見られるという視線の方向性と踊る‘自意識’との影響関係をどう捉え、‘身体’がのる振付へといかに還元させるのかという点が、この舞台では演出上の鍵となっていた。畳状の赤い枠線は、もっぱらこの関係性の在りかたがそこを境に変容するような分水嶺の役割を果たしており、突如介入してくる音楽やズレて差し込んでくるスポットライトがこの変化に明瞭な区切りを与えていた。

 志賀さんは導入シーンを微細に描写しています。

無音のなかでスーツ姿にイガグリ頭で裸足の井手が上手の袖からちょっと顔を覗かせる。そして少しずつ歩みそうになって、戻る動き、傾いたまま動きそうな姿勢など、緊張感のある非常にゆっくりした踊りを展開しだす。すると下手手前のスピーカーから割れるようなロックの音。それに吃驚して井手は元の袖に慌てて消える。また恐る恐る登場。またゆっくりとした踊りを繰り広げる。と音楽とともに下手観客席横に布団を持ったオバさんが登場して、布団を叩きながら、「ひっこせ、ひっこせ」と連呼。最近話題になった近隣嫌がらせで逮捕されたオバさんのパロディー。それに驚いて、井手はまた引っ込む。これが繰り返され、黒服の女性がオバさんを連れ去る。この踊りそうで踊らないような導入自体がいい踊り。照明が変わると、井手がスーツのまま頭に日本髪の鬘で目隠しをして、手に炊飯ジャーを持って登場し、足元を探りながら上手奥の赤いラインの角に向こう向きに立って、空手の動き。女性が登場して、井手をこちら向きにする。目隠しを外してジャーを持ったまま赤いラインの上を四角く歩く。そして踊りだす。

 なるほど、なるほど。舞台の様子が目の前に浮かび上がり、手に取るように分かります。それら一連の動きの魅力を次のように伝えます。

井手の動きは基本的に音楽に合わせて腰を動かし、両手を動かしというジャズダンスやディスコダンス的な要素がある。音楽もジャズやラテンムード音楽をよく使う。しかしジャズ、ディスコ、ラテンダンスとはまったく違う。体操選手のウォームアップのような動き、手を使ったギャグ的マイムから倒れ込み、床でごろごろ動く、突然立ちあがって、バレエの回転とジャンプ、また倒れてうごめき、起きて武道的動きやモデルウォーク、ストリップ的腰振りと股間突き出しなど、あらゆるものが混在一体となっている。それが実に自在に動き、かつぽっちゃりとしかし筋肉の詰まった体が行うため、コミカルみも見えながら、それが次第にかっこよく見えてくるから不思議だ。ともかく見ていて楽しいダンス。そしてどこか切ないような気持ちを、ちょっとだけ喚起するところが魅力的だ。

 前半、「俺」と書かれて垂れ幕が下がってくる場面があるようです。「ブロググビグビ」サイトの伊藤亜紗さんは「とちゅうでパッキーンと掛け軸が下り、「俺」の一文字。極太の墨で書かれた「俺」。独舞だとどんなテーマであれ、どうしてもダンサーの内側でおこってるできごと、自意識や、調子や、企てや、上昇、下降、といった微妙に変化しつづける空模様のようなものが舞台上にさらされているのを見る。だけどそれは繊細な「俺」の内面を見ているのではなく、「俺」をいかにけしかけて立たせるかという勝負のようなものを見ているのであって、畳に柔道場のような赤枠が引いてあるのも、そういうふうに見えた」と書き留めています。

 ダンス批評で知られる「Sato Site on the Web Side」の kmr-satoさんもこの公演を取り上げています。「性的なアイデンティティ」にふれた個所はとても印象に残りました。

「炊飯器」を手にあらわれ、踊り出す。これは間違いなく「おかま」だ。それは最後には、猛烈な蒸気を噴き出して舞台を真っ白にする。あと、最後の最後、ひととおり踊って歌った(?!)後、汗かく背中を剥き出しにしてしかし、おもてを見せずに佇んだあたりは、男性ダンサーがしばしばイージーに上半身裸になってしまうことへの静かな抵抗のようでもあり、また丸い背中のセクシーさを訴えるエロティックなシーンともとれた。

 公演が終わった後、井手の演出ノートが配布され、そこに「いまの僕 鏡の中の僕 みられていない僕」と書かれていたようです。「演じ分けられた、三通りの「自分」ということらしい」と前置きして、「陸沈」サイトのtajatさんは次のように指摘しています。

観客は気付かなかっただろうか。舞台上の井手はほとんど、スポットを浴びては居なかった。開演直後、彼は一番明るく照らされた柔道場の真ん中ではなく、奥の薄暗いステージでひたすら踊っていた。赤い正方形がくっきりと照らし出されたときも、井手はライトのもとに入ろうとはせず、その縁を足でなぞって歩くばかりだった。後ろ向きでステップの練習をする井手、椅子に座ってうなだれる井手、柔道着で汗を拭い、窓辺に向かって背伸びをする井手。そんな、ダンスの舞台からはひとつ外れた、“スポットを浴びていない”井手は、正に、「みられていない僕」の表象である。

 ぼくが見た限り、それぞれの方々がソロ公演に引きつけられています。結語を抜き書きしてみます。

「全体的にバランスが良く、後半には破れもきちんとある秀作」(「nemlog」)
「ともかく、本気の一発を見せられたと思って感動しました」(Sato Site)
「シャイでありながら大胆、それが合わさった井手茂大を堪能した舞台だった」(「デュカスの日記」)
「あらゆる意味で一人舞台でしたが、ご本人が陶酔しているようなことは全くなく、計算しつくされた井出ワールドを満喫いたしました」(「しのぶの演劇レビュー」)


[上演記録]
井手孤独【idesolo】
世田谷・シアタートラム(5月26日-29日)


[参考]
・eplusの公演告知ページに、短いデモ映像が掲載されています。いつまでみられるかわかりませんが、なかなか得難い映像ではないでしょうか。
 http://eee.eplus.co.jp/movie/0504/023/
・公演の写真はイデビアン・クルーのWebサイトに公開されています。
 http://www.idevian.com/ja/idesolo.htm

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July 07, 2005

SOMA組「SOMA THE BEST」

 「SOMA」という役者さんの独り芝居。7月5日のたった1日だけの公演「SOMA THE BEST SOMA ひとり芝居傑作選」 が東京・しもきた空間リバティで開かれました。「SOMAひとり芝居ホームページ」によると、SF新作「THE EDGE」の完全版(30分バージョン)「TOKYO LADIES」シリーズの新作小品、本間商事、下山リョウ、藤田亜季作の人気小作品など、こってりまるまる2時間、だったようです。

 「おはしょり稽古」サイトのあめぇばさんがこの公演を取り上げ、「個人的な経歴などは殆ど存じ上げないのだが、凛として底無しに素直な人のように、何となく思える。芝居の技量もさることながら、そんなSOMAさん自身に知らず(知らず)皆惹かれていくのだろう。小劇場演劇に片足を突っ込んでから知ったかぶりしたくて色々な芝居を観てきたが、このSOMA組は唯一、本気でファンになった劇団」と傾倒しています。
 「TOKYO LADIES XIII」は、こんなお話しだそうです。

五人の女性が登場する。引きこもりの一人息子を持つ母親、営業マンのOL、志敗れて不登校になってしまった高校教師、出会い系に登録している女子高生、そして四人が居合わせたハーブティーの美味しい喫茶店に勤める、ウェイトレス。(略)些細なきっかけで話すことになった四人は、やがてお互いの状況を打ち明けるようになる。たまに照明が変わって一人が客席に向かって語ったりして、間延びしないような造りに仕上がっている。
軽妙で、殆ど笑いっぱなしに笑える。なのに文章にしようとして舞台を思い出すと、優しい雰囲気に今更のように気づいて涙が出てきそうだ。

 演出は「早馬瑞陽」さん。SOMAさんご本人のようです。(上演記録を追記しました。2005.7.9)

 [上演記録]
SOMA組「SOMA THE BEST SOMA ひとり芝居傑作選」
しもきた空間リバティ(2005.7.5.)

作:早馬瑞陽・下山 リョウ(Funny Sketch)・本間商事・後藤博之(アトリエフォレスト)・藤田明希
演出:早馬瑞陽
出演:SOMA
演出補:平野小僧
舞台監督:吉川悦子
照明:若林恒美
音響:宮崎裕之
デザイン:胡舟ヒフミ(オーバーワークス)
制作:宙丸千夏・玉水孝子・SOMA組

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July 05, 2005

play unit-fullfull「此処にいるはずのない私」

 「おもしろいことなんでもやりたい集団」を自称するplay unit - fullfullの第11回公演「此処にいるはずのない私」が下北沢OFF・OFFシアターで開かれました(6月22日-26日)。
 「休むに似たり。」サイトのかわひらさんによると、今回は「事件の中での人の気持ちの微かな動きを得意とするフルフルの新作。上京して数年、追いきれない夢を追い続ける女の所に転がり込む人々の話」だそうです。

 劇団のWebサイトによると、あらすじは次の通りです。

上京したての頃、女には夢があった。夢を叶える為、 春のわくわく感と共に新しい生活をスタートさせた。 全てか楽しく希望に満ちた日々だった。 夢に向かった生活は好調な切り出しだ。 だが希望に満ちた日々は、慣れと現実の生活に揉まれて曖昧になってしまった。 気付けば30才、夢も希望もない、ふつうの生活。 『あ、っれ~?こんなだったけ?』 女にイライラと焦りが募る。そんな自分の現状に戸惑い出した頃、田舎の家族が夜逃げして来た。 彼らをかくまい、生活をみる羽目になる。 神経をきりきり心配する女を他所目に、明るく陽気な家族たち。 とてもじゃないけど、借金苦で夜逃げして来た人達には見えない。 家族の呑気さに、女のイライラはピークに達して・・・。 フルフルの、地味で陽気な何の変哲もないお話です。

 「地味で陽気な何の変哲もないお話」を「デジログからあなろぐ」サイトの吉俊さんは「シチュエーションコメディーでも無ければ、人情ものという程の人間模様もない・・・日常に少し毛が生えたくらいの日常、ちょっとサスペンスな日常・・・背伸びした日常を背伸びしない人間が描き出していく」と述べています。そのあと具体的な指摘をいくつかしていますが、それは原サイトでご覧ください。


[上演記録]
play unit - fullfull第11回公演「此処にいるはずのない私」
下北沢OFF・OFFシアター(6月22日-26日)

作・演出 ヒロセエリ
出演 遠藤友美賀 広瀬喜実子 青山貞子 杉木隆幸
野呂彰夫 馬場恒行(KAKUTA) 清水徹也(クロム舎) 新井友香(劇団宝船)

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July 03, 2005

あおきりみかん「ホップ・ストップ・バスストップ」

 名古屋を本拠とする劇団「あおきりみかん」の第13回公演「ホップ・ストップ・バスストップ」が名古屋で開かれました(愛知県立芸術劇場小ホール 6月9日-12日、G/Pit 6月25日-27日)。東京と名古屋を行ったり来たりしている「観劇インプレッション」サイトの#10さんはこの筋書きを「とある田舎のバス停で、一列にならんでバスを待つ人々。しかし定刻を過ぎてもまったくバスの来る気配がない。何が起きたのかといぶかしむ人々だったが、突然思いがけないハプニングが起こる…」と始めています。
 舞台には大勢の役者が出ずっぱりのようです。「10人以上の役者がずっと舞台上にいるのは結構大変なことです。特に会話劇でこういう状況だとセリフのない役者が所在なげになってしまいがちなので、そこを上手にさばいて無駄なく見せていたのは見事でした」と演出を評価していました。

 名古屋の舞台を丹念にみている「観劇の日々」サイトのしおこんぶさんは「バス停喜劇の決定版」として「お勧め度8(10段階)」だそうです。7月9日-10日は東京公演(新宿・シアター・モリエールが予定されています。

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July 02, 2005

THE SHAMPOO HAT「事件」

 THE SHAMPOO HAT公演「事件」が下北沢のザ・スズナリで上演されています(6月28日-7月5日)。この劇団は1996年に旗揚げ。「当初はコント性を重視したシチュエーションコメディー的作品を上演していたが、4作目以降からは、 役者(登場人物)が「歌い上げる」舞台ではなく、人物が「そこに生きて在る」舞台の創造を試みている。以来、作・演出・出演をこなす赤堀雅秋が独自の世界を展開する」(劇団Webサイト)。明示されていませんが、今回は第18回公演のはずです。

 通り魔殺人事件の犯人捜しが縦糸になる芝居のようです。「しのぶの演劇レビュー」サイトは「刑事、医師、患者、スーパーの店員、無職のごろつきなど、小さな町に暮らす庶民」ら登場人物はみな「礼儀知らずで、自己中心的な言動や態度が目立つ」けれども、「それゆえの会話の不成立具合が可笑しさになります。生活感や日常の泥臭さがぷんぷんと匂ってくるリアルな演技で、その人物の感情がビタっと身体に染み付いてきて、まるでその人に触れたような気持ちになりました」と述べています。
 大阪公演(7月21日-24日)も予定されています。
THE SHAMPOO HAT公演「事件」

[上演記録]
THE SHAMPOO HAT「事件」

■作・演出 赤堀雅秋
■出演
日比大介
児玉貴志
多門 勝
野中孝光
福田暢秀
黒田大輔
滝沢 恵
赤堀雅秋

<東京公演>
2005年6月28日(火)~7月5日(火)
会場 ザ・スズナリ
<大阪公演>
2005年7月21日(木)~7月24日(日)
会場 芸術創造館

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July 01, 2005

鳳劇団「昭和元禄桃尻姉妹」

 「昭和元禄桃尻姉妹」公演は、今回が4回目になるようです。昨年が2回。今年2月は鳳劇団の旗揚げ公演でしたから、今回は再演と言っていいのでしょうか。2月公演は「映画やテレビとは異なる『舞台』の面白さ楽しさをより多くの方々に知らせたい」(劇団Webサイト)という狙い通りの舞台でした。今回(6月29日-30日、新宿タイニイアリス)はどうだったでしょうか。

 「おはしょり稽古」サイトがさすがにこの芝居を見逃しません。「二時間足らずの中にいろんなものが、ぎっしりではなくジュクジュクに詰まっている。あたかも熟れて弾けそうな桃のように・・・と気持ち悪い文章になってしまうけど、そういう、ジューシーな話だ」と痺れていました。

 劇団Webサイトによると、昨年(2004年)に続いて、今年11月にも海外公演(韓国・ソウル)が予定され、その前10月11日-12日に、新宿タイニイアリスでまたまた公演が計画されています。見逃した方は秋をお楽しみに。

【参考】前回の公演評は以下の通りです。
・「オジン世代への変貌」(西村博子)
・「変わらない原石」(北嶋孝)

[上演記録]
鳳劇団昭和元禄桃尻姉妹
 新宿タイニイアリス(6月29日-30日)

作・演出:鳳いく太
出演:かぢゅよ&シルサ
照明:(有)未来工房 中本勝之、村上みゆき、朴須徳
音響:鶴岡泰三、鳳いく太 
振付:かぢゅよ、橘左梗
劇中曲「瞬きの都」作曲・演奏:かぢゅよ

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タテヨコ企画「すくすく」

 青年団出身の横田修主宰のタテヨコ企画がいま、都内の幼稚園を舞台に使った公演「すくすく」を上演しています。劇団のWebサイトによると、「1999年2月に横田修(作・演出・美術)と舘智子(俳優)の2人で結成しました。2人の名前から【タテヨコ企画】と命名。リアルな関係性に基づいた舞台表現を信条に、俳優のクセや空間の特性までを取り入れた芝居作りをしている」そうです。奇をてらったわけではなく、むしろ劇団の目指す路線上に今回のシチュエーションが設定されたことが分かります。

 実際の舞台はどうだったのでしょうか。「白鳥のめがね」サイトのyanozさんは「お話としては、幼稚園にこどもを預けている親達がこどもに見せるミュージカルのための練習をしていて、その練習の一日の様子を描くというもの」「そこで、劇中劇的に、その親たちが演じているミュージカルの場面が何度か繰り返し挿入される。(略)このリハーサルシーンの劇中劇は、しかし、地となっている日常場面の演技の中に唐突に織り込まれてゆく。まるで、時間的連続のリアリティを破るように割って入り、躍り出てくる」「何箇所か、このミュージカルシーンを練習日のリハーサルの場面として回収してしまうという処理をしていた。それは、逆に、虚を虚として括弧に入れてしまうようで、虚実が反転するような魅力を殺いでいると思い、惜しまれた」とのべて、幼稚園という現実の場所と舞台との拮抗・緊張関係や、舞台から立ち上る「リアルな関係性」を順々に解説(あるいは解剖)しています。

 公演は7月10日まで。これからまた違った公演評が見つかると思います。そのときは追記で紹介ます。

Posted by KITAJIMA takashi : 02:43 AM | Comments (0) | Trackback
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